白髪の王子様の好奇心 64 涙の不思議

涙の不思議
私は涙腺の締まりが弱くて困っています。
テレビやラジオだけでなく本を読んでいても泣けてくるのです。
一番困るのがテレビのアニメを見ていて思わず涙をこぼす時です。横に座っている奥方には絶対に見られたく有りません。
もし奥方に見られたら(私が病気に成っても涙を流さないくせにテレビの漫画を見て涙を流すなんて)といやみの一つでも言われそうで怖いのであります。
そこでぐっと涙を堪えると今度は鼻水が出てくるのです。困ったものです。それ以上我慢するとオナラが出そうなので卓上に置いてあるティッシュを取り鼻をかみながら、さりげなく涙を拭くのであります。
涙は鼻涙管を経由して喉に流れるそうで、無理に止めようとすると鼻に流れ込むのかも知れません。
昔から泣く子は育つ?と言いますから私はまだまだ育ちざかりなのでありましょう。
しかし何故涙は出るのでしょうか。
悲しい時だけでなく、嬉しくても感激しても出てくるのです。
原因を調べようとすると必ず難しい話になってしましますが、どうやら自律神経が強いストレスや興奮状態によって刺激されると交感神経と副交感神経のバランスが崩れるため、それを解消するために涙を出して精神を安定させるそうです。ですから涙は無理に我慢せず流すだけ流したほうが精神的には良いのだそうです。
ストレスは感情の起伏だけではなく寒暑、騒音、過労、睡眠等のように本人があまり意識してないことからも蓄積されており、更には笑っているからリラックスしていると思うとそうでもないようです。
人間の精神ってややっこしいですね。
ところで男にとって女性に泣かれるほど困ることもありません。
口論等によって原因がはっきりしていればまだしも原因がさっぱり分からない時にはどうしていいやら途方にくれてしまいます。
悲しいのだろうか、嬉しいのだろうか、それとも泣いてごまかしているのだろうかと横顔を覗きながら頭をぐるぐる回転させて推理しなくてはなりません。
当然ストレスが一気に溜ります。
そうです、こういう時は男も大きな声を出して泣きましょう。女心を理解しようなんてとても無理ですから、相手の女性がビックリして泣き止むぐらいに大声で泣きましょう。これで二人ともストレスが解消されて笑顔に戻るはずですから。
戦国時代の武将は人前もはばからず良く泣いたそうです。
(男が人前で涙をながすなんて)と恰好付けるようになったのは戦乱が治まった江戸時代からだと言われています。恰好を気にする連中は、ひ弱な時代に育ったひ弱なやつなのです。人情のある人なら自然と涙がこぼれるのを恥ずかしいとは思わないはずですから。
ハワイから来た相撲の高見山が厳しい稽古で思わず流した涙を見られ(目から汗が出た)と苦笑いした話は有名ですが、自分で自分が悔しくて流す涙はアスリートの誰もが経験する試練の輝かしい涙です。
ですからオリンピック選手のような極限の苦しみを乗り越えてきた人程たいてい泣き虫なのです。
格好いい泣き虫なのです。
後で食べようと取っておいた肉を子供に食べられて流す涙とは質がちがいます。
質が違うと言えば悔し涙と笑って出る涙の成分は違うそうです。苦しい時に出る涙の方がしょっぱいそうです。
皆さん、健康のために塩分控えめの涙を流しましょう。