お爺ちゃんの昔話 7

とんちんかん

◎ 昭和時代の話をしてるのに今の子供たちは江戸時代の話をしてるように聞いているから困っちゃうよな~

▲ ハハハハ だって昭和時代が終わり平成時代も終わって今は令和だよ 子供から見れば昭和時代もお相撲さんの様にちょんまげ頭だったと思ってても仕方ないよ

◎ そんなもんかね~~ お互いの会話がとんちんかんに成るのも仕方ないか

▲ そのとんちんかんという言葉も江戸時代の言葉じゃないの? 意味は何となく分かるけど何でそんなへんてこりんな言い方するのかが分からないわ

◎ 夢子ちゃんの言う通り江戸時代 あるいわもっと前の時代の鍛冶屋さんは刀や金物の道具などをこしらえるのに金属を高熱で柔らかくしてハンマーのような物で叩いて平たく伸ばして作るんだけど大きなものは一人では叩いてる途中に冷えて固まってしまうから2~3人で調子を合わせて叩いたんだね

▲ へ~ 「えんや~とっと えんや~とっと」って歌いながら?

◎ それは民謡だよ そんな掛け声だったら弟子たちが道具を持って踊り出したら困るじゃないか

▲ それじゃ「わっしょい わっしょい」かしら

◎ それはお祭りでお神輿を担ぐ時の掛け声だよ 弟子たちが道具を担いで神社に行っちゃったら仕事にならないじゃないか

▲ それじゃ どんな掛け声で調子を合わせたのかしら

◎ それは親方それぞれだと思うけど親方が一番先に叩いて次は一番弟子が叩き最後に二番弟子が叩くのが普通だったと思うよ

▲ ふ~~ん

◎ 親方が『トン』と叩くと一番弟子が「チン」二番弟子が叩くと「カ~ン」という音が響くんだね 同じ金属を同じ道具で叩いてるのに「トン チン カン」と音が揃わないんだよ 不思議だね

その音を聞いた庶民はあ~あ あんな不揃いな「とんちんかん」の音じゃ凸凹の金物が出来るに違いないと笑ったことからちぐはぐの話やつじつまの合わない話それに話題と全く関係ない言葉を言ったりすることを「とんちんかん」と言うようになったそうだ 終わり

▲ へ~~

◎ 楽器でもトランペットを始めて吹くと「プ~ プ~」とオナラのような音しか出ないそうだよ 尺八も「首振り3年」と言って 初歩的な音をだすだけで3年掛かるそうだ そんな未熟な状態でみんなと合奏したらとんちんかんな音を出して笑われても仕方ないよね

▲ ふ~~ん お爺ちゃん有難う お爺ちゃんは江戸時代から生きてるだけあって物知りだね

◎ ちょっとちょっと 夢子ちゃん お爺ちゃんは昭和生まれだよ江戸時代に生まれたんじゃないよ

▲ ハハハ ハハハ 冗談 冗談だよお爺ちゃん

◎ 夢子ちゃんも冗談を言うようになったか この前までオムツを引きずって歩いてたのに

▲ ちょっとちょっと お爺ちゃんの冗談はセクハラのとんちんかんだよ 江戸時代と違うんだからね 発言に気お付けて頂戴

◎ あれま~~ どんだけ~~ あっと驚く為五郎~~~ときたもんだ

    シラ~~~~~ッ

おわり