白髪の王子様の見聞録 ほっこりアイランド

⑲執事ブー太郎

 

★久し振りだな~ こうして野原で大の字になって空を眺めるのは

(ブ) 30分近くもそうやって空ばかり眺めて何が楽しいんですかね 私は退屈して川柳を山ほど作りましたよ

★ほう さすが中年ロボットのブー太郎は風流だね

(ブ) 私に中年というニックネームを押し付けて自分の年代に引きずり込もうとするのはやめてくれませんか

★ハッ ハッ ハッ その被害妄想こそ中年の特徴なんだよ そんな事より出来立てのほやほやの川柳を聞かせてくれないか

(ブ) いいですけど笑わないで下さいよ それでは一句披露します

『空を見て 何が楽しい 青いだけ』お粗末

★ブー太郎 それは川柳じゃなくて私に対する愚痴じゃないか もっとスケールの大きい爽やかな作品はないのかね

(ブ) それなら これはどうでしょう

『鼻の穴 空に浮かべりゃ ブラックホール』お粗末

★・・・・・

(ブ) はやぶさ2もびっくりするようなスケールの大きな作品だと思いますが如何でしょうか

★さて行こうか 澄んだ青い空に汚水が流れ込んできたようだ

(ブ) 良かった良かった ようやく立ち上がってくれましたね そろそろ先を急がないと今日中に建国の地を探すのが難しくなりますから

★ブー太郎 もう先を急ぐ必要はないよ 私はこの場所こそ私の王国に相応しい土地だと思ってるんだ 野球場二つ分ぐらいの小さな島だけど一面穏やかな草原で四方は大海原と白い砂浜で繋がってる この解放感こそ私の求めていた土地なんだよ

(ブ) そうですか それは良かった 案内した甲斐があります 早速ご主人様に報告して建国の許可を頂きましょう

★ブー太郎 有難うよ お蔭で残りの人生に希望の光が射してきたようだ 開国したら老若男女を問わず大勢の人を招き 牛や馬や豚も 更にはキリンや象やカバも招いて賑やかに祝いたいね

(ブ) こんな狭い処にそんなに大勢の人と動物まで招くとしたら宮殿を作る場所なんか有りませんよ 崖っぷちに3畳一間の宮殿しか作れませんがそれでよろしいですか

★それが宮殿かね 神田川添いの下宿じゃないんだからせめて3DK位は欲しいね 来客を持て成す部屋もないと困るから

(ブ) それなら象やキリンやカバは招待から外して下さい それに牛や馬も程々にして豚は私がいるからカットしましょう

★ブー太郎はまるで執事だね

(ブ) はい ご主人様からこれからは王子様に仕えるよう指示されましたし 今は頼りない王子様を支えるのはこの私しかおりませんので

来賓に対してのマナーもご主人様から厳しく指導されましたのでいつへそ曲がりのプーチンやきかん坊のトランプが来ても大丈夫ですよ

★頼もしいねブー太郎は ところで執事殿に相談だけど宮殿に大奥を設けたいと思ってるけどどうかね

(ブ) 却下します 3DKの宮殿に大奥など造るスペース等有りません

★そうかね 『ちょっとだけよ~ん』の小奥でもいいんだが

(ブ) そこまで言うんでしたら検討しますが予算はどの位頂けるんですか

★そ~よな~ 三食昼寝付きで一人当たり月5万円程度だろうな

(ブ) 分かりました それでは老人ホームから二人ほど紹介してもらいましょう ホステスの衣装とオムツ代は別途支給となりますがそれでよろしいですか

★執事殿 大奥とは介護施設のことじゃなくて若くてピチピチしたギャルの集うところだよ 分かってるのかね

(ブ) 分かってますがその程度の予算では昔はピチピチだけど今はヨレヨレのホステスしか集まりませんよ 建国のスタートはクリーンなイメージが大切ですからエロ気は大人用のビデオで我慢願います

★そうですか 失礼申しました さぞかし清く正しい味付けしてない野菜サラダのような王国が誕生することでしょう

(ブ) 今の小言は聞こえなかった事にします さてこれより本職のガイドに戻りまして帰り道のご案内をしますので遅れずにご同行願います

★去りがたい気分だけど一先ず初恋の地を後にしよう

(ブ) この坂道を下れば近道となります 足元に気を付けて下さい

あっ!!!・・・

★何だね急に大声をだして

(ブ) 長居をし過ぎました 引き潮から満ち潮に変わって たった一本の道が海に呑み込まれてしまいました

★おいおい 私達はどうなるんだね

(ブ) 今度の引き潮を待つしかありません 今日はもう無理です

★やれやれ 今夜はブー太郎と添い寝かね ブー太郎はロボットだから温もりがないよな~ 

(ブ) ブタ型ロボットだって相手を選ぶ権利ぐらいあります ブ~

★・・・・・

  つづく

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⑱別天地

★ブー太郎 待たせたね

(ブ) あっ! 王子様よくご無事で 心配しておりました

★いやはや お岩塾はお化け屋敷の様なもんだと軽く考えていたがとんでもない まるで暴力団事務所のお仕置き場のようだったよ

(ブ) ボコボコにやられましたか

四谷怪談のお岩だけでなく番町皿屋敷のお菊や牡丹灯篭のお露まで現れて気を失っていた私をお皿や下駄でボッカンボッカン殴ったもんだからとうとう気絶を通り越して天国のお花畑に旅立ってしまったんだよ

(ブ) あれま~ 霊界から天国へとバージョンアップしたんですか スリル満点でしたね

★スリルどころじゃないよ 生死をさ迷っていたんだからね 幽霊は痛みを知らんから殴る限度も知らなかったんだろう

(ブ) でもよく正気に戻ることが出来ましたね

★よくは覚えていないがお花畑に人の良さそうなお爺ちゃんが居たので『花見酒を楽しみたいので清酒を少々とこのお花畑に負けない位の綺麗なお姉ちゃんを2~3人呼んでほしい』と頼んだら 『天国っちゅう処は そんな甘いもんじゃなかんべさ~』と怒鳴られ 気が付いたら其処の原っぱに転がされていたという訳だ 若しかしたらあのお爺ちゃんは天国の神様だったかも知れんな

(ブ) さすが王子様は凄いな~ 天国の神様をパートのお手伝いさんのように扱うなんて

★兎に角ここは長居は無用だ ブー太郎 先を急ごう

(ブ) しかしお岩さんもお菊さんもお露さんも江戸時代からず~と霊界に居るんでしょ そろそろ解放されてもいいと思いませんか

★恨みに治まらず人を呪うようになるとそれ自体が犯罪なんだよ 呪うほうも呪われる方も解放される事はないよ 悲劇だね さあ行こうブー太郎

(ブ) 人間に生まれなくて良かったな~ 豚型だけどロボットで良かった・・ ほら王子様 あの三本杉を左に曲がると吊り橋が有りますからそれを渡れば風光明媚な別天地が待っていますよ

★おいおい その吊り橋は幽霊吊り橋じゃ無いだろうな

(ブ) もう霊界からは脱出できましたから安心して下さい その証拠に幽霊トンネルで失くした片方の靴も今履いてるじゃないですか

★おいブー太郎見てみろよ あの吊り橋誰も乗ってないのに揺れてるじゃないか やっぱり幽霊が揺らしてるんだよ

(ブ) 海が近いので浜風で微かに揺れているだけです 私が先に渡りますから後から付いてきてください

★お~う ブー太郎 海が見えるじゃないか 白い砂浜がキラキラ輝いててまるで海から生まれた宝石のようだ あの砂浜で一休みしようブー太郎 もう少し早く歩けよブー太郎

(ブ) そんなに後ろからせっつかないでくださいよ吊り橋がギシギシと前後左右に揺れてるじゃないですか これじゃ幽霊だって怖がってオシッコ漏らしますよ全く

★お~うブー太郎の言った通りここは地上とは思えぬ別天地だよ なんと素晴らしい眺めだろう 白い砂浜の先には小さな島が幾つも浮かんでいてこちらに向かってくる白波の音は我々を歓迎して出迎える拍手にも感じるではないか

(ブ) 一休みしたら正面の島に渡ってみましょう

★渡ると言っても橋は無いし 小舟も無いしどうやって渡るんだね 泳いで渡るとしてもブー太郎はロボットだから前に進むよりも下に沈むほうのが早いような気がするけど

(ブ) ここは海流がぶつかる処で細かい砂利や貝殻それに珊瑚の欠片等が堆積されて引き潮に成ると歩いて渡れる道が現れるんです ほらもう直ぐですよ海面に白い道が透けて見えてきましたから

★ほ~~う 日本のモン・サン・ミェルじゃないか なんと素晴らしい光景だろう よし決めた あの島に私の城を築こう

(ブ) まだ島に一歩も足を踏み入れてないのに決めるのは早いですよ

★なんのなんの 75年も生きてると目を瞑っててもあの島の光景が瞼の裏に浮かんでくるんだよ さあブー太郎早く行こう ワクワクして踊りたくなってきたよ ホークダンスでも踊りながら渡ろうよブー太郎

(ブ) あの島に精神病院はあったかな?

★おいブー太郎 お前のジョークには棘があるんだよ お前は中年のロボットなんだからもっとマシュマロのような柔らかなタッチでエレガントなジョークを言ってほしいね

(ブ) 自分でもそんなセンスが無いくせにロボットに押し付けないでほしいですね 兎に角足元はデコボコで道も細いですからコケないで下さいよ年なんですから

★その年なんですからも余計なんだよ ところでこの島には道路は整備されているのかね

(ブ) いいえ 四方八方断崖絶壁の島ですから引き潮の時波打ち際に人が二人並んで歩けるような自然の道がたった一つ現れるだけです

★それではこの島に城など造れないではないか

(ブ) 勿論です 猿でさえ時々足を滑らしてお尻を擦りむいているくらいの急斜面ですからとても建築等無理です だから王国の場所として決めるのは早いと申し上げたのです

★それなら何でこの島に渡ろうと誘ったんだね

(ブ) 私が案内したかったのは今はこの島の陰になって見えませんがもう一つお花畑が広がる穏やかな島が目と鼻の先に有るのです その島にも今なら歩いて渡れますから楽しみにして下さい

★ブー太郎も憎い演出をするよな 喜ばせて 泣かせて また喜ばせて・・・

(ブ) ツアーコンダクターのソムリエライセンスを持っていますから

★そんなに鼻の穴を広げて自慢すんじゃないよブー太郎

(ブ) 王子様も私の鼻の穴に負けないよう知識を広げてほしいですね

★前から言ってるようにお前のジョークは棘だらけなんだよ もっとソフトで自然に優しいジョークを言ってほしいね

(ブ) いいえ これはジョークではなく 切なる願いであります 王子様らしい風格も今は有りませんから

★ムムムム ロボットも中年を過ぎるとお説教臭いこと言うから困るんだよな~~

  つづく

 

 

 

 

 

 

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⑰お岩塾の恐怖

(お岩) 幽霊とお化けの違いを勉強しましたので次は幽霊としてデビューするための実施訓練を行います 先ず人前に幽霊として登場する時は ♪ヒュ~~~ドロドロドロ♪ というバックミュージックが流れてからゆっくり姿を見せて下さい 慌ててはいけませんよ 慌てて幽霊がつまづいたら笑われますからね

★お岩先生 江戸時代はとっくに終わって今は令和の新しい時代となったのにいまだに幽霊のバックミュージックはヒュ~~ドロドロドロなんですか 時代遅れの様な気がするのですが

(お岩) それでは貴方はどんな曲が良いと思うのですか

★ベートーベンの【運命】なんかどうでしょうか 【ジャジャジャジャ~~ン】という重厚なバックミュージックに送られたら幽霊にも気合が入ると思うんですが

(お岩) 却下します 幽霊は格闘技ではありませんので気合は必要ありません それに幽霊にも愛国心はありますので外国の曲で【うらめしや~】は出来かねます

★失礼いたしました

(お岩) それでは次に移動方法ですが・・・新入りの王子とやら そこから前後左右に移動してみて下さい

★こうですか?

(お岩) そんなロボットのようにガックンガックン動いてはいけません 幽霊は湖面を滑るヨットのごとく【スーー】っと音もなく移動するのです

★そんなこと言われたも幽霊と違って私には足が有りますから音もなくスーっとなんて移動できませんよ

(お岩) 何を言ってるんですか 自分の足元をよく見て御覧なさい 貴方の足はとっくに消えて無くなっていますよ

★えっ! まさか あれっ!あああ足が消えてる あああ足が~~~ 

    バタン ツーーーー

(お岩) あら 気絶しちゃったみたい 相手を気絶させるのが幽霊の醍醐味なのに自分が気絶してどうするんですか 全く

すみませんが番町皿屋敷のお菊さん 彼の目を覚ましてくれませんか

(お菊) はいはい お安い御用で お皿を一枚づつ数えながら顔面に落としてもよろしいでしょうか?

(お岩) お任せしますわ 一枚づつ叩きつけても結構ですよ 目が覚めたら顔が腫れあがって幽霊らしくなりますから

(お菊) それではスタートします  一枚~~・・・ ボッコン

★アイタタタタ アイタタタ アレッ? あんた誰 アイアムア・ボーイ

(お菊) あらま~ たった一枚で目が覚めちゃうなんて物足りないわ~

(お岩) 王子とやら 授業中に居眠りはいけませんよ

★は はい 居眠りした覚えはありませんが頭がパニクッて目が回って申し訳ありませんでした 自分で自分を褒めてあげたいと思います

(お岩) 何を言ってるのかよく分かりませんが授業を進めましょう

それでは幽霊の基本動作である『うらめしや~』のポーズについて勉強いたしましょう

★あれこれ規則で雁字搦めにしないで自由なポーズでいいと思うんですが駄目ですかねお岩先生

(お岩) 自由には遠慮や思いやりがありません 自由程平和や規律を乱すものは無いのです 若し幽霊の一人が阿波踊りのように両手を頭の上でひらひらさせながら『ヤットヤット ヤットサー』なんて踊りながら人前に現れても誰も恐がりませんよ そんな自由を許したら私達は統率がとれなくなり霊界から追放されてしまいます

★成程 まるで権力者のように自由を振りかざす者は幽霊よりも怖い存在なのかも知れませんね それでは『うらめしや~』の基本ポーズを教えて下さい

(お岩) では両腕を胸のところまで持ち上げてから柳がしだれるように前に垂らして下さい

★こうですか?

(お岩) 駄目駄目 そんなに腕を前に伸ばしたら『前へ~ならい』に成ってしまいます 脇を締めて肘は脇から離れないようにして 手首はだらりと下げますが指先がおへそより下に行かないよう注意して下さい

★うらめしやのポーズは簡単なようで結構難しいもんですね 指先がおへその下に行ってはいけないなんて初めて知りました

(お岩) だらりと垂らした指先が股間まで届き そこで指をもぞもぞ動かしたら色々と誤解される恐れがありますから

★成程 李下に冠を正さずという教訓と同じですね お化けも大変だな~ バカじゃ出来ませんよね~お岩さん

(お岩) お化けじゃありません幽霊です さっきお化けと幽霊の違いを勉強したばかりじゃありませんか

★失礼しました ついうっかりしまして 自分で自分を叱りたいと思います ところでうらめしやのポーズはこんなもんでよろしいでしょうか

(お岩) ポーズはまあまあですがそんなドングリ目をしてはいけません 幽霊が相手よりもビックリしたような目をしてたら足元を見られますよ

★お言葉ですが幽霊には足が無いので足元を見られる心配はないと思うのですが 

(お岩) 貴方は私を馬鹿にする気ですか このお岩を馬鹿にしてこのお岩塾から無事に出られるとでも思ってるんですか

★いえいえ冗談ですよ 先生は美人で感じが良いから冗談の一つも言いたくなるんです 同じお岩さんでも四谷怪談のお岩さんだったら片目がザクロのように紫色に腫れあがりそれはそれは恐ろしい顔をしてましたので冗談なんかとても言えませんよ

(お岩) そのお岩さんってこんな顔でしたか・・ヒュ~ドロドロドロ 『うらめしや~~ 』

★ヒエ~~~ッ おおお・いいい・わわわ・だ~~~ 

ガックン・・ツーーー

(お岩) あら また気絶したのかしら 子供より単純なこと やれやれアホ面してよだれをたらしてズボンの又のところもしっとり濡らして情けない王子様ですこと ホッホッホッ・・あらいけない幽霊は笑ってはいけないんだったわ

ちょっと 牡丹灯篭のお露さん 今度はあなたに彼の目を覚ましてもらっていいかしら

(お露) はいはい了解です カラ~ン コロ~ンと素敵な音を響かせる愛用の下駄でこの頭をぶん殴ってよろしいでしょうか

(お岩) どうぞどうぞ ゴルフボール位のコブが出来ても構いませんから腰を入れてガツ~ンと一発やってくださいましな

(お露) それではお言葉に甘えまして梅雨空の雲が吹き飛ぶような勢いで一発勝負とさせていただきます

そりゃ~~っ  ガツン~~~~~~

・・・・・・・・・・・・

(お岩) どうかしたのお露さん黙り込んで

(お露) このお爺ちゃん 気絶を通り越して完全にバタンキューしちゃったみたい 頭の上にドーナツのような円い輪が浮かんできたわ どうしよう

(お岩) 私 知~らない

(お露) そ そんな お岩さんが腰を入れて思い切りぶん殴っていいと言ったじゃない ねえ番町皿屋敷のお菊さんも聞いてたでしょ

(お菊) わたしも知~らない

(お露) な 何でよ  私達親友でしょ 私一人に責任を押し付けるなんてずるいわ あ~あ霊界でも女の友情ははかないものだったのね・・・

いいわ それなら私だって今日の出来事は何も知らなかったことにするは

泡吹いて転がってるお爺ちゃんのことなんか知~~~~らない

 

つづく・・・・・かも

 

 

 

 

 

 

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⑯幽霊ゾ~ン

★ブー太郎 待たせたね

(ブ) 愛用のボロシャツが戻ってきて良かったですね

★おいおいブー太郎 これはボロシャツじゃなくてポロシャツだよ

(ブ) だってものまねのちゃんこ鍋先生がこのシャツは汗臭いし襟が真っ黒に汚れたボロシャツだと言ってましたよ

★余計な事を しかしその先生のお蔭で無事卒業出来たけどもうあのフンコロガシのものまねは二度とやりたくないね 全身筋肉痛だよ

(ブ) この島にもフンコロガシはいますから今度見つけたらフンコロガシの肩や足を揉んであげたらどうでしょう

★お前 ロボットにしては洒落たこと言うじゃないか やっぱり小父さんロボッとは話が合うね さて先を急ごう モタモタしてたら今日中に王国の地を探すことが難しくなってしまう

(ブ) 任せて下さい王子様 この先にも候補地に相応しい場所は幾つもありますから

★旅の友であったピーチクとパーチクが居なくなって寂しい気もするけど正直いってほっとしているよ

(ブ) あの双子のインコはうるさいとかやかましいとかを通り越して耳と脳を破壊するエイリアンですよ

★ハハハ 同じロボットなのにブー太郎でもピーチクパーチクのお喋りは苦手のようだね 人間も女という字を三つ重ねてかしましいと詠むんだよ 女が三人集まると近くに雷が落ちても気が付かないので雷も避けて通るそうだ

(ブ) 雷も女のおしゃべりには耳を塞いで通り過ぎるんですね

あっ! 王子様 トンネルが見えてきました あのトンネルを抜けるとガラっと雰囲気が変わりますよ

★トンネルを抜けるとそこは雪国だったなんてこと無いだろうね

 (ブ) たった50メートル位のトンネルですからそんなことありませんがこの島は火山島ですから起伏が激しくて七つあるトンネルのどのトンネルを抜けても同じような景色は一つもありません

★この年で血湧き肉躍る未知の世界を旅するなんて何と幸せなことだろう

(ブ) 王子様 このトンネルは一人づつ しかも10メートル以上離れて通らなければなりませんので私が先に入ります

★ほ~う どうしてかね

(ブ) 天井や壁が崩れ落ちても一人は助かる為です

★おいおい たった今 何て幸せなんだろうと感激していたのに命を懸けた地獄のトンネルに引きずり込む気かね

(ブ) このトンネルは江戸時代に掘られたそうで 島民は幽霊トンネルと呼んでいます

★お化けでも出るのかね

(ブ) 私達ロボットには感じませんが人間には何か霊感めいた事が起こるそうです 江戸時代このトンネルを掘削中に落盤事故があり3人の方が亡くなったそうです 人柱としてその人達の骨が壁に埋め込まれているそうで壁から手が出て来たり足を捕まれたりするそうですから王子様もくれぐれもお体を大切にしていただき無事五体満足で再会出来ることを心から祈っております アーメン

★おい こら ブー太郎 お前は何時から幽霊トンネルの観光大使になったんだ おいブー太郎・・・・ああ行っちまったよ全く 10メートル離れろと言ってたな そろそろ行くか たった50メートルだ どーてことないさ

しかし出口の明かりは見えないし雫がピチャピチャ落ちる音が無気味だな ウヒャッ!首筋に冷たいものが・・なんだ これはコンニャクじゃないか まるで昭和のお化け屋敷だな・・・足元がヌルヌルして気を付けないと滑って転ぶな あっ!! だ 誰だ足を掴んだのは 危ないじゃないかこんな所で あっ! 靴が脱げた ちくしょう 真っ暗で何も見えん・・あっ かすかに出口の明かりが見える もう靴なんかどうでもいい 早くこの気味悪いトンネルから脱出しよう

(ブ) 王子様 こっちです こっちです ご無事でなによりです

★無事なもんか 左足の靴を盗まれてしまったよ

(ブ) やっぱり出ましたか 靴を取り戻すには幽霊塾で幽霊の勉強をして悪霊払いの行事を行わなければなりません 

★幽霊の勉強なんて私はまだ幽霊になるつもりは無いよ 東京オリンピックまでは石にかじりついてでも生きるつもりなんだから

(ブ) あっ もう幽霊塾の先生が迎えにきましたよ王子様

★えっ? あれが塾の先生かい めちゃくちゃ美人じゃないか おれ勉強してくるからブー太郎ここで暫く待っててくれないか それじゃ行ってくるよ

(ブ) あ~あ行っちゃった あの塾の先生は四谷怪談のお岩さんなのに・・・王子様東京オリンピック見られるかな~~ 俺知~らない

  つづく 

 

 

  

 

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⑮ちゃんこ鍋先生

★島倉チョロ子先生からの紹介で来ました白髪の王子と申します

❤はいはい聞いてますよ ものまねゾーンの関所で不合格となってポロシャツを取られた方ですね

★先生もご存じでしたか

❤ふっ ふっ ふっ このものまね会館に居た人は皆知ってますよ あの大型スクリーンに映ってましたから

★ありゃ~~ 映画館並みのスクリーンじゃないですか あれに私のつたない演技が映ってたんですか 恥ずかしくて顔色が信号機のどの色になろうかと迷っております

❤ものまねは恥の上塗りで上達するものですよ ところで貴方が関所の前で披露した演技は何のものまねだったんですか?

★コッコッコッ コケコッコ~で分かりませんでしたか 鶏ですよ

❤あらそうだったの 私は喘息で苦しんでいるお爺ちゃんの真似かと思ったわ 鶏が見たら気を悪くしたでしょうね シャツだけでなくズボンもはぎ取ればよかったかしら

★それじゃものまねゾーンじゃなくて追剥ゾーンじゃないですか

❤ほっ ほっ ほっ 私だって貴方の下着姿なんか見たくありませんよ 兎に角私のものまね教室でそれなりの成績を修めれば関所で取り上げられたシャツはお返ししますから頑張って下さいよ

★そうですか それじゃ私の人生を賭けて頑張ります

❤貴方の人生はあの汗臭いポロシャツによって左右されるんですか 悲しい人生を送ってこられたんですね せめて洗濯はこまめになさった方がよろしいですよ シャツの襟が真っ黒によごれてましたから

★週に一度は洗濯してますよ それに下着だって3日に一度は洗濯してますから清潔そのものです

❤え~っ 下着も洗濯は3日に一度ですか すみませんがもう少し離れてくれませんか

★一日履いたら翌日は裏返しにして履き3日目は元に戻して履いた後下着は目出度く解放されます

❤貴方の人生は表と裏が入り混じってるんですね

★人間誰しも表と裏の顔があります それを上手に使い分けながら険しい人生の苦難に立ち向かっているのです その人間と行動を共にする下着だって表と裏を上手に使い分けてこそ立派な勝負下着に成長することが出来るのです

❤はいはい分かりました ところでこの教室は貴方の人生について語ってもらうコーナーではありませんのでそのガッツポーズは納めてくれませんか

★も 申し訳ありません つい熱が入りまして 私は声色を変えて他人の真似をするような器用なことは出来ませんので不器用な素人でも出来る簡単な芸を教えて頂きたいのですが

❤貴方がツルツルの禿げ頭だったら簡単な芸があるんですけどね

★どんな芸ですか

❤頭をすっぽり風呂敷に隠して少しづつ風呂敷の上から頭を出して【ご来光】と叫ぶのです 更に黒いお盆で少しづつ頭を隠して【皆既日食】と叫べば大受け間違いなしです

★それは簡単ですがその芸をする度頭をツルツルに剃るのは白髪の王子のキャッチフレーズを偽ることになりますので私には出来ませんね

❤そうね それではフンコロガシなんかどうかしら

★えっ? あのウンチを丸めて転がすフンコロガシですか それはちょっと・・・ これでも私は王子様ですから

❤フンコロガシを馬鹿にしてはいけませんよ 古代エジプトでは太陽神の運行をつかさどる神として王様でさえ崇拝してたのですよ 今でもエジプトだけでなく地中海を囲む殆どの国で縁起の良い神としてお守りやアクセサリーとして売られているのよ ご存じありません?

★はい 本で壁画に描かれたフンコロガシを見たことありますしツタンカーメンの黄金の装飾の一部に宝石で作られたフンコロガシが有るのを見たことがあります

❤そうですか それなら王様でさえ崇拝したフンコロガシですから胸を張って縁起の良いフンコロガシに挑戦いたしましょう

★はっ はい

❤それでは早速裏の牧場に行きましょう

★へっ? 裏に牧場なんかあるんですか?

❤野球場ぐらいの小さな牧場ですが牛や馬や豚を放し飼いで飼育してるのよ

★それはいいですが ものまねするのに何で牧場に行くんですか

❤何言ってるのよ フンコロガシのものまねをするんでしょ まず初めに牛や馬や豚のフンを集めて運動会の大玉転がし位のフンを集めるのよ

★ひえ~~ ちょっと先生 ものまねなのに何で本物のウンチを使うんですか ウンチもものまねにしましょうよ 先生・・・・・

ウンとかフンとか言って下さいよ 先生~~

   つづく

 

 

 

 

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⑭ピーチクの頭がパンク

 

(パ) 王子様 ピーチクの様子がちょっと変なの きっとオヤジギャグの毒に侵されたんだわ 何を言っても【象のお化けだわ ゾ~ッ】としか言わないの 心配だわ 早く治してあげないと

(ブ) しゃべり過ぎで顎の筋肉がけいれんしてるんじゃないのか

★ロボットが故障した場合はどこで修理するのかね

(ブ) ロボットクリニックへ行きます 其処には覆面をした謎のドクターがいましてあらゆる故障を直してくれます

★この島は謎だらけだけど君たちのドクターまで謎の人物だとは驚いたね それでそのロボットクリニックは遠いのかね

(ブ) 狭い島ですから何処からでも簡単に行けます この道を海側に進めば島の周回道路に出ますからそこでタクシーに乗ればすぐです

★えっ? この島にタクシーなんか走ってるのかね 車どころか信号もガソリンスタンドも無いと聞いてるけど

(ブ) ほっこりアイランドでは自転車・リヤカー・ベビーカー・カート等車輪の付いた物は全て周回道路ではタクシーと呼んでるんです 手を上げれば島民の誰もが親切に載せてくれます ピーチクとパーチクは鳥のくせに飛べないけど小さくて軽いから誰でも喜んでクリニックまで載せてくれるでしょう

★それは良かった それでは早速周回道路に出てみよう おやっ?あそこで誰か歌を歌ってるね 島民に遇うのは珍しいな

(ブ) 島倉千代子さんの歌ですね あの曲は僕の好きな【人生色々】だけど綺麗な和服を着てるし声も仕種も本物そっくりですよ 若しかしたら本物の島倉千代子さんじゃないでしょうか  

★まさか 本物の島倉千代子はとっくにあの世へ旅立ってしまってるよ

(ブ) あの世への旅の途中でエンジントラブルに巻き込まれてこのほっこりアイランドに不時着したのでは

★う~~ん ロボットらしい発想だな 丁度一曲終わったところだから伺ってみよう もしもし 突然失礼ですが素敵な歌を無断で聞かせていただきました 島倉千代子にそっくりで驚きました 本当にお上手で

❤島倉チョロ子と申します そこのものまね会館で島倉千代子のものまねを教えておりまして もうすぐ授業が始まりますので此処で発声練習をしてましたの お褒めに預かりまして恐縮ですわ ホッ ホッ ホッ

★どうりでお上手な筈です  ところで島倉チョロ子さんは男の方ですか?

❤まあ 失礼な・・そうだよ男だよ股間に立派な息子をぶら下げてるよ それがどうしたってんだ・・な~~んちゃって ホッ ホッ ホッ

★ハッ ハッ ハッ これは驚き桃ノ木山椒の木ですね 私も貴方の授業を受けたくなりましたが残念ながら女性の声は出せません 他に先生はいらっしゃるんですか?

❤明日は五木せまし先生 その次は美空すずめ先生 他にもゴロッケ先生とかちゃんこ鍋先生もいらっしゃるわよ 貴方はものまねゾーンの関所で鳥の真似をしてたから動物のものまねが得意なちゃんこ鍋先生に教わるといいわね

★えっ? 私のものまねを見てたんですか

❤ええ ものまね会館のスクリーンに映ってたから生徒さん達も喜んで見ていたわよ あのキツツキの真似私は良かったと思ったけど鐘一つで残念だったわね

★あれはキツツキじゃなくてニワトリのものまねなんですが

❤あら そうなの でも同じ鳥に見えたんだから上等よ

(パ) あの~王子様 ピーチクを早く病院に連れて行きたいんですが

★おう そうだった後免後免 

(ブ) すぐそこが周回道路だから僕がタクシーを探しましょう 

❤タクシーならマイケルさんがもうすぐものまね会館から出てきますから彼に頼むといいと思いますよ

★チンピラロボットのマイケル君が来てるならそれがいい ちょっと乱暴な運転かも知れないが君達も顔見知りだろ

(ブ) あっ 来た来た リヤカーに荷物をいっぱい載せて きっと明日の船に乗せる荷物を預かってきたんだ マイケルさ~~ん こっち こっちへお願いしま~す

(マ) おーっ ブー太郎じゃないか こんなところで何してんだよ

(パ) マイケルさん お願いがあるの ピーチクの頭がパンクしちゃって壊れたレコードの様に同じことばかり言ってるの お願いだから病院に連れてってほしいの

(マ) 何だピーチクもパーチクも一緒か お前ら親分のところから家出でもしてきたのか?

★マイケル君 ブー太郎もピーチクパーチクもご主人の勧めで私のお供をしてるんだよ

(マ) 何だ トラブルメーカーは又あんたかよ やっぱりあの時いかだに乗せて海に流せばよかったよ 兎に角俺は今忙しいんだピーチクもパーチクも早くこの荷物の上に乗んな その代わりおとなしくしてろよ ピーチクパーチクしゃべりやがったら海に放り投げるからな

(ピ) ワーッ 海に放り投げるだって 象のお化けだわ ゾーッ

(マ) なんだこいつオヤジギャグなんか言いやがって

(ピ) ワーッ 私のことをこいつだなんて象のお化けだわ ゾーッ

(マ) やっぱピーチクの頭はパンクしてるようだな 客人よ あんたが道々オヤジギャグを連発したからピーチクの頭がいかれちまったんじゃないのかね

★とんでもない 私が犯人にされるなんてそれこそ象のお化けだよ ゾーッ

     つづく 

 

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⑬王国の地は何処に

 

(ピ) 下着に黄ばんだランニングシャツなんか着ちゃって 王子様って首までどっぷり昭和に漬かった中古の小父様みたい

(パ) そうよね きっとズボンの下は皺皺のステテコよ そしてステテコの下は越中ふんどしに違いないわ 想像しただけで顔がほてっちゃうわ イヤ~ン バッカ~ン

(ブ) ピーチク パーチクよ バッカ~ンはお前達じゃないか ブー

★もの真似で合格しなかったからといって通行料代わりに着ていたシャツを取り上げるなんて追剥じゃないか 先が思いやられるよ

(ブ) もの真似ゾーンの関所を過ぎると海が開けて山道もなだらかになりますので建国に良い土地が見つかると思いますよ ブー

★ブー太郎は言葉の最後に必ず『ブー』と言うけど何故かな 豚型ロボットだからかい?

(ブ) それは話す時と聞く時のチャンネルの切り替えなんです 僕は旧型ロボットなので ブー

★成程 確かに古い通信機は送信と受信を交互に使い分けて会話していたけど『ブー』と言わなくてもチャンネルの切り替えは出来るんじゃないの

(ブ) はい 出来るんですがつい昔からの癖で『ブー』と言ってしまうんです ブー

★ハッ ハッ ハッ それではこれからは『ブー』と言わないよう練習してみようよ

(ブ) はい 分かりました ブー

   あっ いけない ブー

   どうしても ブー

(ピ) バカですね~ブー太郎は つくづくバカですね~~

(パ) みじめなのは顔だけかと思ったら頭もみじめだったのねブー太郎は

★これこれ 悪口はブーメランの様に自分に返ってくるんだよピーチク パーチク

(ピ) ブーメランって何のことかしら パーチク

(パ) たぶん新しいラーメンのことじゃないかしら  ブーメランラーメンを食べると目が回るのよきっと

(ピ) そうか 日本のラーメンも来るとこまで来たって感じね

(ブ) 王子様 あの丘の上なんかどうでしょうか 海は見えるし眺めは最高だと思いますが ゥッ ゥッ

★よし行ってみよう ブー太郎よく我慢したね『ブー』と言わなかったじゃないか

(ピ) パーチク 今聞こえなかった? 口ではブーと言わなかったけどさお尻からブーって音がしたよね

(パ) そうそう 中身が漏れなかったか心配だわ

(ブ) お前ら 背中から振るい落とすぞ ロボットがオナラやウンチをするわけ無いだろが~~

(ピ) まあ 大声張り上げて 振動で落石でも起きて怪我したらブー太郎の責任だかれね

(パ) チンピラと同じだわ 大きな声を出した方が勝ちだと思ってるのよ 

★これこれ また口喧嘩かね いい加減にしなさい あの丘の上がどんな場所か早速行ってみようじゃないか 楽しみだね 神社でお御籤をひくような気分だよ 大吉だといいんだが

(ピ) ブー太郎の紹介だから当たりの『ピンポ~ン』じゃなくて外れの『ブー』 だと思うな私

(パ) お上手お上手 座布団三枚~~~ハハハハ

★よいしょ~~っと やっと到着だ どれどれ・・・・・

お~~お~~ 大吉だよブー太郎 ピンポ~ンだよピーチク パーチク 絶景じゃないか 水平線で海と空がぶつかって青さを競い合ってる 海がキラキラ輝くと空では海鳥たちが楽しそうに舞う 一日見てても飽きないね

(ピ) そうかしら 私達はしょっちゅう見てるから何とも思わないけど

(パ) そうよね 私達にとってこの景色は平凡の凡だから一日中見てたらボケちゃうかも

★贅沢言ってるね 幸せも毎日続くと平凡に感じてしまうんだよ

(ブ) 丘の上はもう少し広いと思ったんだけどな~ ちょっと狭くありませんか王子様

(ピ) そうよ建国祝いにトランプやプーチンを呼んだら関係者だけで溢れちゃうかも

(パ) そうね 祝賀パレードだって鼓笛隊は無理だからちんどん屋を頼むようだわ

★ハッハッハッ 只で借りるんだから贅沢は言わないよ それにトランプやプーチンは上から目線だから呼ぶつもりもないしパレードだってピーチクとパーチクが居れば賑やかでお祭りみたいなもんさ

(ブ) 王子様 賑やかと騒々しいとは別物だと思いますが

★ハッハッハッ 先ずはここを建国の第一候補地としよう ブー太郎 ありがとう ピーチクもパーチクも無駄話をやめて第二の候補地を探しておくれ

(ピ) おしゃべりを止めろなんて象のお化けだわ ゾーッ

(パ) そのギャグはさっき言ったじゃん 親父ギャグの二番煎じを言うなんて頭の回線が切れちゃったんじゃないのピーチク

(ピ) 頭の回線が切れたなんて象のお化けだわ ゾーッ

(パ)もしかして マジで回線切れたかも ゾ~~ッ

  つづく