白髪の王子様の好奇心 65 別れの手紙

別れの手紙
メールだとついふざけちゃうから手紙を書きました。
私達、暫く別れましょ。何と言えばいいのか良く分からないけど、いつもボタンの掛け違いのような気分になるの。
花火大会の日、あなたが私の浴衣姿が見たいと言うからおめかしして着て行ったのに、あなたは下駄を履いて来たのはいいけどドラゴンズのユニホームを着てメガホンで(たまや〜〜〉と叫んでいたでしょ、ちょっとチャンネルが違っているような気がしたの。
その夜、二人っきりで満月を眺めたわね、とてもロマンチックな気分だったのであなたの肩にもたれてそっと目をつぶったのに、あなたは満月を見たらアンパンが食べたくなったと言って近くのコンビニに出掛けたわよね、その時未来の希望が見えなくなってアンパンが見えてきたの。
あなたはいい人よ、話をしてても楽しいし、やさしいし、・・だけど、どこかが引っ掛かるのよね、喉にアジのトゲが刺さったような。
今迄あなたに好かれようと私なりに努力してきたつもりよ。
あなたが秋葉原で見たメイドさんのコスプレが好きだと言うから、ちょっと恥ずかしいけど思い切ってメイドさんの恰好をして見せてあげたでしょ、その時、あなたは喜んでくれたけどバックから服を出して同じメイドさんのコスプレで楽しんだわよね、その時夕焼けの空に向かってカラスが飛んで行ったわ(カ〜ア カ〜ア)と啼きながら。
昨日、気晴らしに近くの公園に出掛けたら、珍しく鳩が5〜6羽遊んでいたの、だけど近くに行ったら(ク・ク・ク・クルシイ〜〜 ク・ク・ク・クルシイ〜〜)と鳴いてるように聞こえたの。
私、ちょっと壊れちゃったみたい。御免ね、だから暫くそっとしておいてほしいの、タンスの肥やしのように暫く埋もれていたいの。
海に浮かぶ木の葉のように、不安に揺れる私の気持ちを分かってほしくって髪を短く切ったけど、あなたは全然気づいてくれなかったわね。
御免ね、キヨシ さようなら