寸劇シリーズ 9 中老の悩み

9 中老の悩み

店員・有り難うございます 2点で258円となります

婆 ・え~~ 1円玉は3枚しかないし 10円玉も2枚しかないので家に帰って探してきます

店員・いえいえお婆あちゃん 100円玉が何枚も入ってるじゃないですか その100円玉を3枚出してくれませんか おつりをお渡ししますから

婆 ・あなた私の小銭入れの中を覗いたわね 覗きはいけませんよ 私はこれでも女ですからね セクハラよ

店員・すみません 目の前で広げたものですからつい見てしまいました

婆 ・あなた いつも優しいから許してあげるわ はい 100円玉3枚 これでお願いします

店員・有り難うございます それでは42円のおつりを小銭入れに入れますね

婆 ・ありがとさん やさしいね 来年のバレンタインデーにはチョコをあげるからデートしましょうね それまで達者でね

店員・は はい お婆あちゃんもお達者で・・・次のお客様お待たせしました どうぞ

男 ・あんたもてるね もう来年のデートの約束かい?

店員・ハハハハ 聞こえましたか あと70歳位若かったら嬉しいんですけどね

男 ・ハハハ そうだよな あれじゃデートじゃなくて介護に成っちまうよな ハハハ  それじゃこれ頼むよ

店員・有り難うございます 408円になります

婆 ・ちょっとちょっとお兄さん このジュースの蓋開けてくれないかね いくらひねっても私の力じゃ開かないんだよ

店員・あっ はい 今ゆるめましたからこれで大丈夫だと思いますよ

婆 ・ありがとう 随分簡単に開けちゃって あなたボデイビルでもやってんの?

店員・いえいえ この位ボデイビルなんかやらなくても開けられますよ

婆 ・そうかい 私なんか必死で開けようとしたらオシッコもらしちゃったよ

店員・ハハハ オーバーな

婆 ・本当だよ なんなら見せてあげようかい? あなただけにそっと見せてあげるよ

店員・いえいえ結構です 目がつぶれますから

婆 ・そうかい あんたも遠慮深いね それじゃ飲ませてもらうよ

店員・ちょとちょとお婆あちゃん そこにウンチ座りしてジュースを飲まないでください 外にベンチが有りますからそこでお願いします

婆 ・そうかいそうかい邪魔だよね それじゃお兄さん達者でね

店員・は はい 有り難うございます ・・すみませんお客さん途中のままお待たせしまして 408円になります

男 ・え~と 一円玉持ってないから家に帰って探してくるわ

店員・ちょっとお客様 お婆あちゃんの真似をしないで下さいよ

男 ・ハハハ コンビニにもお爺ちゃんやお婆あちゃんが多くなって店員さんも大変だよな

店員・そうでもないんですがお年寄りの方は小銭を出したがるので今回のように次のお客様を待たせてしまうことがつらいですね

客 ・そろそろ国もお爺捨て山とかお婆捨て山を考えるべきだよな

店員・今でも秩父の山奥なら大丈夫かもしれませんよ

男 ・そ~か~ いい事聞いたよ 早速手伝ってくれないか君

店員・はっ!!??

男 ・さっきの婆あさん 実は俺の母親なんだよ 俺も来年定年でさ老々介護のことを考えるとお先真っ暗なんだよ 俺頭の方持つからさ君は足の方を持って秩父の山奥に捨てるの手伝ってくれないか

店員・さっきのは冗談で言ったんですよ そんなマジな顔で具体的な方法まで指示しないで下さいよ

男 ・俺は真剣だよ 秩父の山奥なら大丈夫だと言った言い出しっぺは君だぜ

店員・お気持ちは分かりますが私も老老の対応で毎日悩まされていますので貴方の様な中老まで面倒見切れませんので明るい未来を信じて暮らしてくれませんか お願いします 代金の408円もよろしくお願いします はい

男 来年のバレンタインデーに婆さんとデートの約束してたよな その時秩父の山奥に行ってくれないか

店員・お断りします

男 ・それじゃ俺と君と二人きりで秩父の山奥に行こうか

店員・お断りします・・・次のお客様ど~ぞ~~

おわり