29 いびり合戦
姑・『ヒ~~ックション』
嫁・あらあらお母様 湯冷めしないように注意しないと
姑・今日の湯がぬるかったせいだよ ガス代をけちらないでおくれ
嫁・ヒートショックは熱い湯が原因らしいですよ ぬるく感じる位が丁度いいんです 交通事故で亡くなる人よりヒートショックで亡くなる人のが5倍も6倍も多いそうですから注意しないと
姑・それじゃお酒を飲んで運転するよりお風呂に入りながら運転する方が危険ということだね
嫁・はいはい その通りでございます
姑・あたしゃね ゆで卵が悲鳴をあげる位の熱い湯が好きなんだよ 冬の風呂はそうでなくっちゃ霜焼けに申し訳ないじゃないか
嫁・分かりました それでは明日から庭に露天風呂をこしらえますから楽しみにして下さい
姑・露天風呂??
嫁・キャンプで使う大きな鉄板がありますからそれに油を敷いて下からガンガン火を焚きますからどうぞ景色を楽しみながらお入りください お勧めは腹ばいになったり仰向けになったりして表や裏をじっくり焼くのがよろしいかと存じます
姑・言葉は丁寧だけど それって私をバーベキューにするってことかい?
嫁・はい 半分でも焼いておけば火葬の時楽ですから
姑・息子もいい嫁をもらったもんだ 嫁いできた頃は私が小言を言う度に蔭でシクシク泣いてたそうじゃないか 息子にあまり小言を言うなとよく言われたもんだよ
嫁・はいはい 10年もいびられてきましたので耳にも心臓にもタコが出来まして最近ではお母様のいびりが快感になってきましたの この快感をじわりじわりとお母様にお裾分けしたいと思ってますのよ ホホホ
姑・何がホホホだよ
嫁・ところでお母様は先程くしゃみをした時手で口を押えていましたけどあまり強く押さえない方がよろしいそうですよ
姑・だって手で口を塞ぐのは礼儀だし女としてのたしなみですよ 笑う時だってあなたみたいに大口開けて喉チンコがブラブラするのを見せて笑うのはお里が知れるというものですよ
嫁・はいはい 障子や襖を足で開けるのもお里の教えでございます ところでお母様 くしゃみをした時の風速は時速300キロにも成るそうです それを無理やり抑え込んでしまうと喉や鼻の奥ばかりでなく耳や脳神経にも悪影響を与えるそうなんです
姑・だからといって花火みたいに空に向かってドカ~ンと打ち上げる訳にはいきませんよ 女ですもの
嫁・我慢しないで手で押さえる素振りで足元に向かってするといいそうですよ
姑・そういえば さっきくしゃみをしたとたん鼻水は出るしブッとオナラは出るしオシッコもちょっとちびったみたい
嫁・あらあらお母様もお里が知れますよ 私は若い頃海で泳ぎながらオシッコやオナラをするのが得意でしたよ これもお里の教えでしたから でもあれって気持ちよさそうで気持ち悪いんですよね
姑・だから海が臭くなって日本にサンマが来なくなったんだよ 漁師に謝りなさい
嫁・私が謝るんですか
姑・そうさ あんたのは半端な量じゃないんだから
嫁・お母様 お茶が入りましたよ 唐辛子とワサビと胡椒を加えましたのでこれで湯冷めしないで済むと思いますよ
姑・ありがとう もったいないからあなたにあげるわ
嫁・とんでもありません お母様より先にこんなおいしいお茶を頂くなんて 天国に逝くのもお母様が先ですからどうぞお先に
姑・ありがとう こんな素晴らしい嫁を残して一人で天国に行く訳にいきませんからあなたを三途の川まで引きずってでも連れて行くことにするわ
嫁・いいえ お構いなく どんどん一人で先に行ってください お母様
ハハハハ ハハハハ
姑・今日のところは引き分けとしましょう
嫁・そうしましょう
ハハハハ ハハハハ
おわり