白髪の王子様の見聞録 ほっこりアイランド

27 凸島凹島

 

(ブ) あっ! あれはご主人様のホーバークラフトだ 王子様! ご主人様が手を振ってますよ

★ほ~っ 波の上も砂浜も軽々乗り越えて浮かぶなんてまるで魔法のジュータンだね

(珍) あの乗り物も自分でこしらえちゃうんだから大した男だよあいつは

★博士はご主人様をご存じなんですか

(珍) あいつとは同じ大学の同級生でね成績は4年間ブービー賞を争った仲だよ 勉強よりも趣味に没頭してあいつが鉄腕アトムや鉄人28号に憧れたロボットバカで私は地質学に興味を持って土ばかりほじくっているからモグラバカ それをこの年に成るまで続けているんだからお互いバカを超越した大バカ者ですよ ハハハハ

◎これはこれは モグラ博士と王子殿がお揃いで昨日のラグビーの話でもなさってるのですかな 日本が優勝候補のアイルランドに勝つなんて久々の明るいビッグニュースですからな

★ご主人殿 食料の援助やら私の我儘な旅にご協力頂き有難うございます

(珍) そうそう 避難所の備蓄食料は賞味期限が近づいていたので私が全部食べておいてあげたから後はよろしく 礼はいらないよロボット博士殿

◎ハハハハ それだけ食欲があればマグマまで土を掘り起こすことも可能ですな そしたら其処に温泉を造りますので頑張って掘り続けて下さい ところでブー太郎はちゃんと王子殿をサポートしてるかな

(ブ) は はい

★ブー太郎君はサポートどころか最近は彼からお説教されております 私は一つ覚えると三つ位忘れますが学習型ロボットは覚えたことは絶対に忘れないんですよね 来年の今頃はブー太郎君が王子様で私が付き人になってるかも知れません

◎ハハハハ ブー太郎王国に成らぬよう精進願いますよ ところでその王国の新天地をこの島に決めたそうでおめでとう御座います

★お陰様でようやく夢が実現の地に一歩踏み出した感じで年甲斐もなくわくわくしております

◎それは良かった 今日伺ったのはこのぺったんこ島だけでなく隣のとんがり島の開発も貴殿にお願いしたいと思いましてな  昔からこの二つの島は凸島と凹島とか男島女島 ぺったんこ島ととんがり島等とセットで呼ばれてきたのでセットで貴殿にお任せしたいのです

★えっ! あの島は猿も時々足を滑らしてお尻を擦りむくという絶壁の島ですよね 取り付く島もないとはあの島のことのように思えますが

◎ハハハハ 見掛けはそう感じますが木があれだけ茂ってるということは それだけ柔らかい土も豊富にあるということです だいたいお尻に絆創膏を張った猿なんか見かけましたか

★いえ 杖をついて歩いてる猿もお目にかかっておりません

◎そうでしょ もう直ぐマッチョマンゾーンの連中がトレーニングを兼ねて泳いできますので彼らに案内してもらうといいですよ 彼らは週に一度はあの山の頂上まで登っていますから しかも今日は昨日ラグビーで日本がアイルランドに逆転勝ちしてますからいつも以上にハッスルするでしょう 彼らもラガーマンですから 王子殿もどうぞ彼らと一緒にあの急斜面を一気に駆け上がって下さい 

★ちょっと待ってくださいよ 私がそんな事したら一気に駆け上がるどころか一気に昇天してしまいますよ ラガーマンなら私一人ぐらいおんぶしても登れるんじゃありませんかね

◎大丈夫だと思いますがバランスを崩して崖から落ちる時はたいてい背中から落ちるそうです

★それではだっこでも構いませんが

◎それもいいですがつまずいて転ぶ時はたいてい腹から落ちるそうです

★やっぱ私はブー太郎と二人でのんびり行くことにします

(珍) ハハハハ ロボット博士が白髪の王子殿を大切にする訳が分かったよ 真面目な顔してばかばかしい話が出来る相手を見つけて喜んでいるんだろ

◎おやおや もぐら博士は土だけでなく人の心まで診断できるとは驚きです

★どうやらこれで三馬鹿トリオの揃い踏みですかな

ハハハハ ハハハハ ハハハハ

(珍) こんな三馬鹿トリオの話を聞いてロボットのブー太郎君はどう感じているのかねロボット博士

◎おいブー太郎 我々のばかばかしい話をきいてどう思うかね

(ブ) 人間が愚かなのはアダムとイブがリンゴを食べたからだと王子様から教わりましたので何とも思いません

(珍) 成程成程 愚かなのは我々ではなくアダムとイブのせいなんですな王子殿

★その通りです お釈迦様も生まれた時天と地を指さして『上から下までバカばっかり』と嘆いた話は有名です

◎ハハハハ これで三馬鹿トリオのリーダーは白髪の王子殿に決まりですなモグラ博士殿

(珍) 異議なし 同じバカでもリーダーともなれば偉大なバカですから自分で自分を褒めてやって下さい王子殿

★それこそバカ丸出しじゃないですか

ワッハッハッ ワッハッハッ ワッハッハッ

(ブ) アダムとイブはどうしようもないバカだったんだな~~

つづく