会話のボクシングシリーズ 14 勘違いの青春

14 勘違いの青春

野々宮) おい田代 もう12月だぞ 来年の3月には卒業だけどお前マドンナの高鍋に告白したのかよ

田代) それが まだなんだ

野々宮) 3ケ月なんてあっという間だぜ このまま何もせずに卒業したらアナと雪の女王からも見捨てられてお前の心は凍り付いてジ・エンドだぞ

田代) 何でこんな処にアナと雪の女王が出てくるんだよ

野々宮) お前の心が寒いからだよ

田代) 嫌なこと言うなよ それでなくてもこの前失敗して落ち込んでるんだから

野々宮) おう 勇気出してチャレンジしたのか 偉い 男はそうでなくっちゃ それでどうなった?

田代) だから今失敗したと言っただろ

野々宮) 一度や二度振られたぐらいで落ち込むなよ 左のほっぺたを叩かれたら右のほっぺたを出せとどこかの偉い人が言ってたじゃないか

田代) そんな単純な問題じゃないんだよ

野々宮) 何が問題なのかすっきりはっきり簡潔に言えよ親友なんだから

田代) 先週 俺の気持ちをメモに書いて高鍋に渡そうとしたんだ

野々宮) どんな内容か教えろよ

田代) 卒業してからも時々連絡しあって話しをしたいと書いて俺の携帯番号を記したメモなんだ

野々宮) まあまあだな それでもお前の気持ちは充分に伝わったと思うよ

田代) それが伝わらなかったのさ

野々宮) そのメモを読んでお前の気持ちが分からないなんて高鍋は可愛い顔してバッカじゃないの?若しかしてオツム カランコロンじゃないのか

田代) そうじゃないんだよ そのメノを持って学校帰りの高鍋に渡そうと思って駆け寄った時につまずいてさ 高鍋の後ろを歩いてた小柳にそのメモを渡してしまったんだよ

野々宮) えっ! 小柳って あの泣く子も気絶する女番町の小柳のことか?

田代) そうなんだよ

野々宮) 俺 この相談から降りるわ

田代) 何だよ さっき親友だと言ったばかりじゃないか

野々宮) 『私を甘く見るんじゃね~よ』と叫んで校舎の裏に呼び出されてピンタと膝蹴りぐらいは覚悟するんだな

田代) それがさ 昨日小柳と目が合ったら流し目でニコッと笑ったんだよ 俺ゾ~ッとして背筋が凍ったよ

野々宮) おいおい もう凍ったのかよ それじゃアナと雪の女王の出番が無くなるじゃないか でもその流し目はピンタや膝蹴りよりも怖いかもな

田代) 今更高鍋と間違って渡したなんて言えないもんな

野々宮) あったり前だろ 小柳グループはワンチームで襲い掛かってくるから狙われたらお前の青春なんてイチコロだぜ こうなったら死ぬ気で小柳番町と付き合うんだな

田代) これから青春の真っただ中だというのにもう死ぬのかよ 『青春のばかやろ~~』

野々宮) おいおい こんな処で叫ぶなよ 夕陽がやきもち焼くじゃないか

     ♪ルルルルル ♪ルルルルル

野々宮) おい 携帯が鳴ってるぞ

田代) メールだな 誰からだろう ・・・あっ!! 小柳からだ

野々宮) お前が携帯番号を教えたからだろ いよいよ校舎の裏に呼び出しだな 五体満足で帰って来いよ

田代) これを見ろよ

野々宮) どれどれ・・『あなた私にラブレターよこすなんて勇気あるわね 私はOKよ 卒業したら仲良く手をつないで歩きましょうね ウフフ ❤❤』

マジかよ~~ これは本気だぜ 文末のウフフがちょっと怖いけどな 田代どうする?

田代) こうなったらお前の言う通り死ぬ気で付き合ってみるよ

野々宮) そうだな こうなったらお前も少し強気な成って『黙って俺に付いてこい』と小柳に言ってやれよ

田代) それは無理だな 黙って俺が付いていくよ

野々宮) そうだな それが無難かもな 青春は楽しいことばかりじゃないからな・・・

田代) 赤トンボも もう山に帰ったのかな~~・・・・・

おわり