贈り物合戦
○あなた 昴が来年小学校に上がるんですって
◎ほう もうそんな年になるかね 早いもんだな
○それで嫁のご両親がランドセルを買ったからと次郎から電話があったのよ
◎入学するのは今年じゃなくて来年だろ まだ一年以上もあるじゃないか 昴が使う前に
今年の梅雨でカビがはえるぞお前
○私に怒らないで下さいよ どうやら七五三のお祝いはうちにまかせっきりだったから入学祝いの
ランドセルはこちらに任せてほしいと言ってたらしいわ
◎先手必勝という訳だな それじゃ〜我が方では就職祝いの準備でもするか？
○あなた 昴が大学卒業するまでにはまだ１４〜５年もあるわよ それまで私達が生きてるかどうかも
分からないじゃない
◎今の国は一寸先は闇で借金地獄だからな昴が小学校を卒業したら直ぐに強制労働に収容されるかも
知れないぞ その時に慌てないようにさ
○冗談は顔だけにしてくださいよ あなた
◎おい お前も言ってくれるじゃないか
○孫は昴だけじゃ有りませんよ 勇太に美香に永生、それに５月には光子は二人めの出産ですよ
◎あ〜〜
○あ〜〜じゃありませんよ 全員の孫に就職祝いまで出してたら残った年金では屁も出ないですよあなた
◎おいおい尻から屁も出せないなら頭から角を出さないでくれよ
○これからは両家の贈り物合戦からリタイアして自立した本人たちに任せましょうよ
◎そうだな俺達だって二人で何とかやってきたしな
○相手がランドセルならこちらは机とも思ったけどきりがないもの 頼まれてから考えましょうよ
◎そうだな 次郎から机を頼まれたらりんご箱でも贈ってやるか
○そうよ 次郎は机でいつもよだれを垂らしていたもの りんご箱の横に『机』と大きく書いておいたら
◎お主も悪よの〜〜
○お代官様こそ ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ
