白髪の王子様の会話ドラマ  時空神社シリーズ 石川五右衛門  ③秀吉の逆襲

③秀吉の逆襲
◎白髪の王子とやら ここが天国でなければ俺様がお主を釜ゆでの刑にするところであったぞ
△恐れ入ります 長年の疑問がようやく明らかになると思ったらつい興奮しまして申し訳ありませんでした
◎先程から興奮しっぱなしではないか 年を重ねれば心も穏やかに丸くなるのではないのか
△はい 丸く穏やかになるか尖がってせっかちで頑固になるかのどちらかのようです
◎そなたは後者のようだの まあ良い 背中を流して肩を揉んでくれれば許してやろう
△はいはい有難うございます 背中や肩だけでなく前も洗って揉んでさしあげましょう
◎余計な気を使うな 前は他人に揉んでもらう程立派なもんじゃないわい
△そのようですな
◎ばかもん 目をむいて覗くんじゃない お主も同じお粗末な物を持っておろうが
△はい 最近では出が悪くキレも悪く頭をもたげる力も無くだらりと下を向いたまゝの三重苦であります ところでそろそろ大阪城内での出来事を教えて頂けないでしょうか 
◎そうよの〜う もう四百年以上も前のことだからもったいぶって隠す必要もなかろう 今思い出しても痛快な日々であった
△日々と申しますと何日かあの大阪城内で過ごしたのですか?
◎そうよ 秀吉を人質に10日間酒池肉林の豪勢な殿様暮らしを経験させてもらったものよ
△えっ? 秀吉の枕元にあった千鳥の香炉を盗もうとして捕まったんじゃないのですか
◎ハッハッハッ そんな噂が流れておったか あんな物盗んでも餓鬼のおもちゃにもなりゃせん飯食う茶碗のがよっぽど大事だわい
△そうですね それではやはり小判ですか千両箱が山ほど有りそうですし大量の金塊も有ったことでしょう
◎狙ったのは小判でも金塊でもないわい 
△えっ? それではいったい何を盗みに城内に忍び込んだんですか
大阪城そのものよ 秀吉を人質にして大阪城をのっ取ったのさ ハッハッハッ
△さすが五右衛門殿は天下一の大泥棒ですね まさかお城を盗むとは驚きました・・・
しかしいくら力自慢とは言えお城を担いで逃げる訳にはいきませんよね
◎だから10日間だけ秀吉の寝室で酒池肉林の殿様暮らしを堪能した訳さ寝室に忍び込んだ折秀吉の横に添い寝しておった15〜6歳の娘を秀吉の目の前で御馳走になった時のあの秀吉の悔しそうな顔は今でも目に焼き付いておるわい しょんべん漏らして震えながらこの俺様を睨んでおったわ しかしあの娘はおいしかったの〜〜 ・・・白髪の王子とやら 今ヨダレが背に落ちたようだが
△は はい おいしかったでしょうね〜おこぼれでも頂戴したいぐらいです これで秀吉の阿修羅の様な逆鱗が私の胸にも響いてまいりました 五右衛門殿は自業自得ですな しかし城内には大勢の武士が控えておったのでは?
◎我々はたった10名であったが秀吉の首に刃を突き付けられては誰も我々に近づくことすらできなかったのさ そこにあの石田三成という青瓢箪が我々との交渉役として出てきたという訳よ あやつ我々に10人分の腰ぎんちゃくを用意してそれぞれの腰ぎんちゃくに目の前で百両づつ包み込み『これで勘弁してほしい殿の代わりにこの私が人質となって無事に城の外まで送り届ける 若し後をつける者がおったら何時でもこの三成を切り捨てて結構だと申し出てきたのよ その時は中々凛々しい面構えをしておったわ 我々も少々殿様暮らしも飽きてきたところだったので仲間と相談して奴の顔を立てることにしたのさ
△ほ〜う うまくやりましたね それなのになぜ全員捕まってしまったんですか? 人質となった三成は偽物だったんですか?
◎三成は本物よ あやつは中々の知恵者だったわい 秀吉が傍から離さなかった訳だ 
△それでは三成の策略によって城から抜け出すことは出来なかったのですか
◎奴を人質にして我々は城を抜け内堀を渡り外堀に掛けられた橋の袂まで来た時約束通り三成は後から付いて来た家臣を全て留め置きたった一人で人質となって我々と外堀に掛かる橋を渡ったのさ顔色一つ変えず中々の胆力の持ち主であった
△それでは何処で捕まったのですか?隠れ家ですか?それともやはり秘かに追手を忍ばせていたのですか?
◎白髪の王子とやら 又興奮して来た様だの 声が上ずって来たぞ
△あ〜〜あじれったい 五右衛門殿下痢ピーで便所を探している気分です早く白状して下され〜

続く