白髪の王子様の会話ドラマ  時空神社シリーズ 石川五右衛門 ⑥王子の酒癖

⑥王子の酒癖
△ウイ〜〜 五右衛門殿 この酒中々いけますな〜 ヒック
◎お主も中々の酒豪ではないか
△なんの なんの 五右衛門殿に比べればピヨピヨでござるよ ウイ〜〜
天国の酒は旨いし姉ちゃんは綺麗だという歌が流行ったけど この酒は本当に旨い 後は綺麗な姉ちゃんが来れば最高ですな ウッシッシ ヒック ヒック ウイ〜〜
◎お主の酒癖はあまり良くないようじゃの〜
△そんな事気にしない 気にしない 無礼講でいこうよ五右衛門君
◎俺様が接待しているのに何でお主が上から目線で無礼講発言するのだ
△まあまあ 蚤のウンチみたいな小さなことでぶつぶつ言わないでさ ド〜ンといこうよ五右衛門ちゃん
◎ムムム(五右衛門ちゃんかよ 参ったな〜 そろそろゴツンと一発見舞って目を覚ましてやるか)
△五右衛門ちゃん かわゆいお姉ちゃんは未だかいな お姉ちゃんのお尻なんか撫で撫でしながら飲みたいですな〜 ウシッシ ヒック ヒック ウイ〜〜 
ガツ〜ン
△グエッ /★/★/××??△△☆/☆/??・・・あれ〜〜っ? 本日は晴天なり 本日は晴天なり 
◎目が覚めたかな王子殿
△おや五右衛門ちゃん 綺麗な姉ちゃんの宅配は未だですかな
ゴッツ〜ン
△フンギャッ /☆☆×○△□★★??☆☆☆☆ ツーーーーー
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△あれれ?? ひょっとして私は眠ってしまったのかな??
◎おう 王子殿 お目覚めかな
△これはこれは失礼いたしました すっかり酔ってしまって不覚にも居眠りしてしまったようで申し訳有りません 何かご迷惑でもお掛けしませんでしたか
◎たいしたことは無い 鳩ぽっぽと姉ちゃんは綺麗だとかいう歌を5〜6回聞かされたぐらいなもんだ
△そうですか ところで頭のてっぺんがやたらヒリヒリするんですが飲み過ぎのせいですかね
◎そこの土間に2度程頭から転げ落ちたからそのせいであろう
△そうですか お酒を飲みながら大阪城での出来事の続きをお聞きするつもりだったのに・・・
◎あゝ その話は済んだばかりだよ エンディングのテーマソングも流れ たった今カーテンが下りたところだ
△ちょっと五右衛門殿 意地悪言わないで下さいよ ちょっと飲ミニケーションが行き過ぎてララランド気分を満喫した結果の醜態ですからカーテンコールで今一度お話下さいませ
◎ハッ ハッ ハッ 酒を酌み交わした仲だし音程の狂った歌も嫌と言う程聞かせてもらったから特別に王子殿のカーテンコールに答えて今一度語るとしよう しかし横からのちょっかいは無しだぜ そして今度は居眠りするなよ 耳の穴をかっぽじって良く聞けよ
△はいはい 頭のてっぺんがズキンズキンしてますが気は確かですのでよろしくお願いします
◎それでは話すとしよう・・・・・橋から落ちたところまでは話したな・・・真っ逆さまに橋から落ちて堀の底の泥を蹴飛ばして水面に顔を出すと仲間達も次々と浮かび上がってきた こう成ったら石田三成のこと等構ってられないのでそれぞれ近くの橋脚や石垣に向かって泳ぎ始めた ところがどうも思うように体が動かん それもその筈よ 体には三成から渡された100両を詰め込んだ大きな巾着がぐるぐる巻きにしてあったという訳よ
△成程 それでは橋脚や石垣にたどり着いても100両を詰め込んだ重い巾着が邪魔して思うようによじ登ることは至難だった訳ですね でも皆さんは短刀を身に付けていますから巾着の紐を切って落とすことなど簡単に出来たのではないのですか
◎馬鹿を申すな 我々は何十年も命を懸けて金を盗んできたのだ その命を懸けて手に入れた金を命が欲しくて捨てること等出来る訳ないであろう 
△成程 理屈は分かりますが 命あっての物種という言葉もありますが・・・
◎そんなものは堅気の理屈よ 我々盗人は命は捨てても盗んだ金を捨て去ることなどはせぬ その証拠に仲間で巾着を切り捨てて逃げた者など一人もおらなかった それが盗人の誇りよ
△そうですか それにしても橋の中央が抜け落ちては城からの追手も来れない訳ですよね・・・
◎それも三成にとっては想定内のことよ 橋の下にでも隠し置いてあったのであろう あっと言う間に我々は侍の乗った小舟に囲まれてしまった それも近づくと我々に船を引っ繰り返される恐れが有るので遠くから投網を何重にも被せてきた もがけばもがく程網が体に絡みつき我々が精根尽きるまで高みの見物よ 盗人の短慮と侍の熟慮との違いよ ハッ ハッ ハッ 我々はいつの間にか天狗になっておったのであろう 完敗じゃ
△そうですか ところで三成はその後顔を見せましたか
◎全く姿は見せなかった 奴には早急にやらねばならぬ事が山ほどあったのだ 姿は見せぬが地下牢で奴の恐ろしい執念と残酷で無残な様子を目の当たりにすることとなった
△えっ? 五右衛門殿をはじめ盗人の全員を捕まえたのになんで他に三成はそんなに慌ててやる事があるんですか
◎俺様も地下牢での出来事で初めて自分の愚かさを痛感した どのような残酷な拷問でも涙一つ流さなかった俺なのに涙が溢れてその夜は一睡もできなかった仲間達も同じ思いのようであった
△えっ 地下牢で何が有ったんですか いったいどの様な残酷な様子を見せられたんですか
◎おいおい そんなに顔をくっ付けるなよ 俺様はそんな趣味は無いぞ
△あゝ 済みません まだ興奮する癖が抜けませんで 気持ちを落ち着かせるためにお酒をもう一杯頂けませんか  
◎それはならん お主が酒を飲めば俺様が落ち着かなくなる 我慢せい
△は はい では深呼吸をさせて頂きます
◎それでは俺様はその間に厠に行って参る こっそり酒を飲むでないぞ ハッ ハッ ハッ

続く