白髪の王子様の会話ドラマ  時空神社シリーズ 石川五右衛門 ④年貢の納め時

④年貢の納め時
◎白髪の王子殿 先程から同じところばかり擦られてヒリヒリしてきたわい 背を流すのは其の位にして肩を揉んでくれぬか
△そろそろ肩を揉もうと思っていたところなんですよ しかしすごい筋肉ですね この盛り上がったところを切り取って焼肉にしたら歯ごたえがあって珍味でしょうね
◎それがしが釜湯に浸かってればネギと味噌を入れて豚汁にしたいと言うし肩の筋肉を見れば切り取って焼肉にしたいと申すがお主は腹が減ってるのではないのか
△ピンポ〜〜ンです 厠で出す物出したら今度はお腹がすいてまいりました この辺にコンビニは有りませんかね 有れば380円の鮭弁など買いたいのですが
◎コンビニなど無いわ 峠の茶屋が一軒有るだけじゃ
△天国も遅れてますね〜 これから高齢者が続々と天国にやって来ますよ このままでは天国でも買い物難民となる人で溢れそうですから早めの対策が望まれますな
◎そなたが天国に来る頃にはコンビニもスーパーも出来ておろ〜
△そうだと良いのですが・・・それはそれとして大阪城での出来事の続きをお話し頂きたいのですが  
◎何処まで話したかの〜
石田三成を人質にして外堀の橋を渡るところまで聞かせて頂きました
◎お〜う そうだったな 暮れ六つはとうに過ぎておったのであろう 城内はすっぽり闇に包まれて空を見上げれば沢山の星が輝いておった 月の僅かな光を頼りに小鳥たちが群れて家路に急いでおった コケコッコ〜とボケたニワトリの声が緊張した我々の心を和ませてくれた
△はいはい 景色や情景のことはそのくらいで結構ですから話をさっさと先に進めて下され
◎うるさいの〜うお主は・・・ 人質の三成を囲むようにして我々11人は外堀に掛けられた橋の袂まで来て立ち止まった
△そこは聞きました三成が家臣を留め置き橋を渡ったのですよね
◎話ずらいの〜 そなたの解説はいらないからちと黙っておれ・・・
三成はきゃしゃな姿をしておったが人質となっても威風堂々として侍の威厳に満ちておった
△それでは傍から見れば五右衛門殿は三成のしがない用心棒のように見えたでしょうね
◎そなたの解説はいらんと申しておろう しかし無頼の剛力無双だけでは侍の威厳と風格には敵わないことを初めて知らされた気がしたのは事実じゃ
△そこで年貢の納め時を悟り武器を捨てご用となった訳ですか?
◎そうではない そう先を急いで俺様をご愁傷様に追い立てるでない
△失礼いたしました それでは暮れ六つはとっくに過ぎているようですので先を急ぎましょう どんどんいきましょう さっさと話を進めましょう
◎お主のちょっかいで余計に話が前に進まないではないか そんなに早く結論が知りたいのであれば教えよう 外堀に落ちて捕まってしまったのだ 完
△それで終わりですか? ちょっと飛ばし過ぎでしょう 何故堀に落ちたんですか 外堀を這い上がり逃げることは出来なかったんですか もう少し詳しく教えてくだされ
◎お主があまりにも先を急がせるからこういう話になってしまったのじゃ かんざしも華やかな飾りを取り払えば只の鉄の棒じゃ 人の会話も同じじゃ 結論だけでは話は行き詰まりそこで会話は途切れてしまう 結論にいたるまでの様々な情景はかんざしを彩る花と同じじゃ 調味料の入らぬスープなどは只の白湯と同じではないか
△恐れ入りました 反省しますので さっさと話を続けましょう ケツを叩かれたオグリキャップのようにジャンジャン突っ走りましょう五右衛門殿
◎オメーは全然反省してねーじゃねーか この白髪ジジーが 薪と一緒に二つに折って釜の下に放り込んでやろ〜か〜 それともそのどてかぼちゃの頭を斧でかち割ってやろーか〜
△オヨヨヨ とうとう昔の無頼漢の五右衛門殿にもどりましたね こうでなくちゃ さ〜これから生きるか死ぬかの命がけのインタビューが始まりますぞ どうぞ皆様ご期待を
◎ジャカマシ〜〜 豚の念仏みて〜にブッツラブッツラほざいてんじゃね〜〜
続く