白髪の王子様の好奇心 84 靴下の穴

靴下の穴
誰もが一度ぐらいは靴下の穴に気付いて恥ずかしい思いをしたことがあるのではないでしょうか。
友人であれば『風通しがいいんだよ』と冗談で済ませることもできますが、よそのお宅に上がった時に気付くと焦ってしまいます。
つまんだり、引っ張ったりしてもすぐに元に戻ってしまいます。欧米人が家に上がっても靴を脱がないのは靴下の穴を隠すためだったのだと気付くのもそんな時であります。
足のつま先や甲の穴はすぐに気が付きますが、かかとは他人から指摘されるまで気付かない場合が多いので、改まったところに出掛ける場合は事前にチエックすることが必要です。何故ならかかとの穴はつま先と違って大きいのです。屋内での葬儀に出席した場合、一人一人、前に出てご焼香をします。そこで靴下のかかとに穴があいていたら後ろで控えている人達全員に穴を披露することになります。
犬は平気で大衆の前でもお尻の穴を見せますが、私達人間は、たかが靴下の穴でさえ恥ずかしい思いをしなければならない悲しい生き物なのであります。
今の若者達のあいだでは靴下を履かないのがオシャレだそうですが、葬儀には履いてほしいものです。喪服の下から白いシャツを出している若者を見てビックリしたことがありますが、親は葬儀では若者のファッションは通用しないことをしっかり教えるべきだと思います。
ところで葬儀に出席した後、礼服をクリーニングに出すと普通の背広の約2倍ちかくのクリーニング代がかかるのは御存知ですか?
礼服は機械でプレスするとテカリが出てしまうのでハンドアイロンが原則す。しかも礼服はあまり着ないので抗菌、防虫処理を施すためその分プラスアルファになるのだそうです。
そう言えば、もう直ぐクリスマスですが、サンタのプレゼントを貰うのに何故靴下をぶら下げるのでしょうか?
これには、こんな逸話があります。
むかしむかし、あるところに それはそれは貧しい暮らしをしている家がありました。その家には3人の子供がおりましたが、ろくな食べ物も与えられず、とうとう子供達を過酷な労働に出すことになったのです。それを聞いた聖ニクラウスが子供達を助けるため、夜中に煙突から金貨を投げ入れたところ、暖炉に干してあった子供達の靴下にその金貨が入ったのでした。それを見付けた家族は神に感謝して子供達を過酷な労働に出さなくて済んだそうです。めでたし めでたし であります。
それなら私もと穴のあいてない靴下を用意しましたが残念ながら我が家には煙突がありません。私も僅かな年金だけでは暮らしていけません、このままでは過酷な労働に出るしかありません。できましたら宅急便で金貨を送っていただけないでしょうか、ニクラウス様。
穴のあいた靴下は我が家では靴磨きに使っています。靴と靴下は何度も顔を合わせているので相性がいいようです。ところが女性のストッキングは使い道がありません。水分をはじいてしまうので雑巾にもなりません。せいぜい強盗に入る時に頭から被るしか再利用の方法がありません。
税理士から聴いた話ですが、強盗に入って奪った金品も確定申告する必要があるそうです。
そのかわり、強盗するのに出費した包丁、ストッキング、めざし帽、逃亡するのに使ったタクシー代等は経費として認めてくれるそうですから年末に計画している方は領収書を大切に保管してください。