白髪の王子様の見聞録 【カッチンコッチンの女】

【カッチンコッチンの女】

◎課長っ 休暇届です 宜しくお願いします

▲おう この日なら問題ないがデートかね?

◎デートで休んではいけないんですか 就業規則にそんなこと書いてあるんですか

▲そんな目を三角にして睨むなよ冗談だよ冗談

◎冗談は頭だけにして下さい

▲きっ きっ 君っ! 私の頭が冗談でハゲてるとでも思ってるのかね

◎いいえ 真面目にハゲてると思います 私が言いたかったのは頭の中で浮かんだ冗談でも口に出してほしくなかったという意味です

▲固いな~ 君は冗談が嫌いなようだけど多少のユーモアは仕事の潤滑油としての役目を果たしてると思うんだよね

◎それって私が潤いのない鉄板のような女だと言いたいんですか

▲鉄板とまでは言わないが軽石位かな

◎どうせ私は軽石ですよ 一生かかとの垢をこすってればいいんでしょ

▲ほらほら又目を三角にして怒る もう少し柔軟な思考が出来ないもんかね 君の生い立ちが知りたくなってきたよ 君のお父さんはどんな仕事をしてるのかね

◎鉄骨鉄筋コンクリートの技師です

▲固いな~ 固いな~ お母さんは?

◎母は脱税摘発の捜査官です

▲固いな~固いな~ 子供の頃はペットとじゃれあったりしなかったのかな

◎子供の頃のペットはロボット犬のアイボです 蹴飛ばすと足の指が骨折します

▲固いな~ 固いな~ せめて趣味ぐらいは暖かくて柔らかくてほんわかしたものであってほしいよ

◎実は今回の休暇はその趣味を満喫したいと思いまして・・・

▲おう そうか ところでその趣味って何かな

縄文時代の遺跡から骸骨を収集することです

▲う~~ん

◎どうしました 課長っ 固まってますよ

▲う~~ん

◎課長~ もし死ぬんでしたら山に埋めてもらって下さい 私が発掘しますから

▲ジャカマシ~~~~ッ

 

おわり