白髪の王子様の好奇心 45 リトル・ギャング

リトル・ギャング
生徒達がサングラスを掛けて登校する。
ギャング養成学校の話ではありません。テレビで放映されたある日本の小学校の話であります。
紫外線から子供達の目を守るためらしい。
この『子供を守る』という言葉には中々反論しにくいため、PTAからの要請があればどんどん広がる可能性があります。インフルエンザの流行や花粉の舞う時期になると、街中は大人も子供も帽子を深くかぶり、マスクをしてサングラスを掛けた人々で溢れるでしょう。そうなるとすれ違ってもどこの誰かも分からなくなって、喜ぶのは強盗と芸能人だけかも知れません。
赤道直下の国の子供達はどうしているのだろうか? 常夏のハワイでは? と考えてしまいます。
心配になるのは、子供達が日光に恐怖心を抱き、益々外に出て遊ぶことを避けるようになるのでは?との老婆心からです。
やがて校庭で遊ぶ時も、体操の時間もサングラスを掛けるように成るでしょう。運動会ともなれば、マフィアの祭典と間違われ、外国人は慌てて逃げ出すに違いありません。
以前にも過保護について書いた記憶があります。ヤンママが除菌除菌と赤ちゃんや子供達が触れそうなところに毎日シュッ シュッと除菌剤を振り掛けていたら、幼い子供達の本来持っている抵抗力が衰えてしまうのでは?との疑問を感じたからです。
ただでさえ、暑いと感じればクーラー、寒ければ暖房。空気が乾燥したら加湿器、じめじめしたら乾燥機、。更にはダニ退治、カビ退治、空気清浄器と至り尽くせりの環境下に体が馴染んでしまえばどうなるのでしょうか。
抵抗力はどんどん弱くなり、やがて旅行に出かけた人の殆んどが体調不良を訴えたり寝込んでしまうのではと思うのはネガティブな老婆心でしょうか。
風が吹けば桶屋が儲かる』の例えを引用すれば『サングラスを掛ければ医者が儲かる』のような気がするのです。
その医者からサングラスを勧められた場合は別である。そうではない健康な人が転ばぬ先の杖を大きくすればする程歩くことが苦痛になるのも事実なのであります。
チャップリンの映画で、食べるものがなくなってしまい自分の履いていた革靴を鍋で煮込み、靴ひもをスパゲッティのようにホークでくるくる巻いて食べる有名なシーンがありますが、終戦後の日本人の多くがそれと違わない悲惨な暮らしを乗り越えてきたのです。雑草の中から柔らかそうな葉を摘まんで食べて下痢をしても、何も食べないよりはいいに違いないという考えは、あの映画のチャップリンと同じ考えであったと思います。
私達のお爺ちゃん、お婆ちゃん達はそんな劣悪で非衛生な環境をたくましく生き抜いてきたのです。
そのDNAは私達に受け継がれているはずです。そしてそのDNAを子供に受け継いでいくのが私達大人の役目ではないでしょうか。
テレビはどのチャンネルもグルメ番組で溢れています。一方コマーシャルはダイエットで溢れています。
『テレビを見ればダイエット会社が儲かる』そんな時代かもしれませんね、今は。