白髪の王子様の会話ドラマ  ドリーム ③イボ蛙とアゲハ蝶

③イボ蛙とアゲハ蝶
☆おっと危ない イボおじさん私ですよ ヒラリです
●何だ ヒラリちゃんか もう少しでパクリと食べちゃうところだったよ
☆も〜う そんな大きな目をして何処見てるのよ 私が食べちゃいたい位に魅力的なのは分かるけどさ本当に歯をむき出しにして飛び掛かって来ること無いでしょうに
●すまんすまん 蛙はね目の前で動くものは皆んな獲物に見えるんだよ だから目の前を横切れば新ゴジラにだって噛み付くぜ
☆そんなの自慢になんないでしょうに そういうのはそそっかしいを通り越して無鉄砲と言うか見境のないバカと言うか天才バカボンの親戚と言うか・・・ 目で見れば獲物かどうか分かるでしょうに
●相変わらずヒラリちゃんは口が悪いな 我々は取り敢えず噛み付いてから考えるのさ のんびり考えていたら獲物に逃げられちゃうじゃないか そう言うヒラリちゃんは何を食べてるのかね
☆私達蝶は色々な花の蜜を吸っているの
●そうか だから花の様に綺麗な姿をしてるんだ 羽がキラキラ輝いて虹から生まれた天使のようだよヒラリちゃん
☆有難うイボおじさん でもそんな色目でナンパされても私にはもう素敵な彼がいてお腹には赤ちゃんもいるのよ
●何だ出来ちゃった婚かよ それじゃ虹から生まれた天使は取り消しでこれからはヒラリおばちゃまと呼ぶことにするよ
☆そんな呼び方したら私はイボおじさんを短くするとイボジーだからこれからはイボ痔と呼ぶからね それにイボおじさんに触れるとイボが移ると聞いているからこれ以上近寄らないわよ
●人間の言うことを信じちゃ駄目だよ このイボは誰にも移らないさ だけど毒を分泌するから触らないほうがいいけどね
☆確かに顔も毒から生まれた悪魔のようだものね
●ヒラリおばちゃまよ 私は貴女のことを虹から生まれた天使のようだと誉めたんだよ それなのに私のことを毒から生まれた悪魔とはひどいじゃないか これも敵から身を守るためにご先祖様が編み出した秘伝の鎧なんだよ お蔭で蛇でさえ我々イボ族には手を出さないんだ 君達蝶も体中うどん粉の様なものを振り掛けて敵から身を守ってるんだろ
☆うどん粉じゃないわよ 鱗粉といって雨をはじいたり光を吸収したりしてるんだけど毒はないのよ だから野鳥等に狙われちゃうから油断できないわ もうすぐ私も一度に100個位の卵を産むけど私の様に蝶に成るまでに殆んどハチや蜘蛛・蟻・カマキリ・トカゲ等の餌になってしまうの それでもこれは戦争じゃないのよね 戦争よりも恐ろしい終わりのない弱肉強食の大自然の摂理なのよね 
●ヒラリおばちゃまもお腹に子供を宿したら命の大切さを考えるようになったようだね 我々カエルもオタマの時に殆んど外敵にやられてしまってこうして生きていることが奇跡みたいなものさ だから失った家族や仲間のことを悲しむよりも残り少ない奇跡の命を大切にしないとね カエルの一生も楽じゃ無いけど私はまた生まれ変われるとしてもイボガエルがいいと思ってるよ 唯一願いが叶うなら一度でいいからヒラリちゃんの様に空を飛んでみたいな
☆でも そんなスタイルじゃ無理ね 豚が空を飛ぶようなもんだわ
●でもダンボという像が空を飛んだという話を聞いたことあるよ
☆ダンボは小さな象なのに耳がとても大きくてその耳を羽のように羽ばたいて空を飛ぶことが出来たのよ イボさんは耳も鼻も穴だけじゃない それじゃ無理よイボをばたばたさせても空は飛べないわ 
●それじゃ美しいヒラリお嬢様 私をおんぶして飛んでくれないかな
☆冗談は顔だけにして下さいな イボさんをおんぶしたら空を飛ぶどころか土にめり込んでモグラさんの頭とゴッチンコしちゃうわ どうしても空を飛びたかったらカラスさんにでも頼めばいいわ
●ヒラリおばちゃまも冗談はお尻だけにしてくれよ あんな真っ黒黒助のギャングに頼んだらお尻の毛だけじゃなくてイボの鎧も剥がされて食われてしまうさ どうやら私の夢は叶いそうにないけどヒラリちゃんの夢は何だね
☆そうね 私は子供を産んだら10日もしない内に天国に行ってしまって子供を天敵から守ってあげられないけどどうか無事で多くの子が羽化して空を飛んでほしいわ
●ハハハ 母は強しだね 自分の命よりも子供の成長を願う ヒラリちゃんはおばちゃまになっても素敵だよ 思い切り抱きしめたいね
☆やだよ〜 子供が皆んなイボだらけに成ったらこまるもん
●ハハハ 『親は無くても子は育つ』と言うじゃないか ましてや口やかましい親なんか居ない方が子はすくすく育つというものさ
☆それって私のことかしら
●さてと そろそろ我が家に戻るとしようか 口やかましい女房が待ってるからね ハハハハ じゃ〜ねヒラリおばちゃま 元気な子供を産んでおくれ イボ痔と会話してくれてありがとうよ
☆イボおじさんこそ元気でね これがイボおじさんとの最後のデートだと思うけど私の子供と逢えたらよろしくね
●ああ 美人で口やかましい蝶ならきっと君の子供に違いないから楽しい会話をしてまた懲りずに『虹から生まれた天使のよだ』とナンパしてみるよ ハハハハ
☆ありがとう イボおじさん さようなら
●おう 素敵なヒラリちゃん さようなら

              おわり