宇宙規模の話題
飲み会での話題はサラリーマンであれば仕事や仕事仲間の話が殆んどで、リタイア組の
話題はあっちが痛いこっちが痛いとの病の話と孫の話が中心となるらしい。そこで仕事
の話は禁止とか病気や孫の話は禁止等と条件付きの飲み会も最近は多くなってきた。
そんな時、光より早い物質が見つかったとかタイムマシンの話題や金環食や流星等の
宇宙規模のニュースが流れると話題の乏しい我々にとってはとても助かるのである。
新聞や雑誌の特集をメモしておき飲み会の話題に載せて楽しむのである。
しかし、約１３８億年前にビッグバンによって宇宙が誕生したことは小学生でも知って
いるので自慢げに話すと自分が酒のツマミに成るので要注意である。
我々の太陽は一匹狼ではなく天の川銀河に籍を置いているらしい。これも殆んどの小学生
は知っているらしい。最近の小学生は誠に可愛くない。
その天の川銀河には太陽のように光り輝く恒星は２０００億個も有り、我々の住む地球の
ような惑星を含めれば１兆を超える規模の大所帯であるらしい。この辺まで来るとメモの
実力発揮となる。
天の川銀河から一番近いお隣の銀河はアンドロメダ銀河で肉眼でも見えるらしいが回覧板
を届けようとしても光の速さで片道２３０万年かかるとのこと、お隣と言ってもスープの
冷めない距離とは言えない。そんな銀河が宇宙には無数に有り、それぞれの銀河は天界を
秒速８００キロの速さで飛び回っているらしい。
このように宇宙規模の話は途方もなく膨大で現実離れしているために話す方も聞く方も
やがて疲れてしまうので小出し程度が肝心のようである。
『太陽の寿命はあと５０億年しかないんだってさ、そろそろ大きなストーブでも買って
おかないと』とメモを思い出す必要のない話題にすると目の合った仲間は『フン』と義理
でも笑ってくれる。地球や太陽に関する話題になると皆結構物知りで『太陽は死ぬ前には
１００倍も２００倍も膨張して今から１０億年後には地球の海が全て蒸発する程高温に
なるからストーブなんて逆効果だよ』と新鮮な情報を教えてくれる。しかし『こんな事は
小学生や中学生でも知ってるよ』と余計な解説がくっ付いてくる。
そこで『そんな時が来たら我々人間はどうしたらいいのかね？』と聞くと『すこし大きめ
のクーラーを買っておいた方がいいな』と真面目な答えが返ってくる。
これぞ極上の酒のツマミである。
