女神様と野球の神様

女神様と野球の神様

★ 高校野球も終わって夏も終わりって感じだな

◎ 今年は猛暑とコロナで大変な大会だったな

★ しかし勝ち負けにかかわらず憧れの甲子園球場ブラスバンドの応援歌を聞きながら大観衆の見守る中でプレー出来たことは一生の思い出になるだろうな~~うらやましいな~~俺も出たかったな~~

◎ お前 高校で野球やってたのか

★ 一度も甲子園に行ったこと無いから自慢できないけどさ 一応エースとして投げてたんだよ

◎ へ~ お前は見た感じ野球部というよりオニャンコクラブに見えるけどな~

★ なんだよそれ これでも俺が投げて県大会の決勝まで行ったことあるんだぜ

◎ 御見それしやした オニャンコじゃなくてライオンに昇格するけどさ 決勝まで進んでも負けは負けだな

★ 悔し泣きは青春の思い出かもしれないけど 負けてるチームを応援したくなるのはその悔しさが今でも忘れられないからだろうな~~

◎ でもその決勝で負けたのはお前のせいじゃないだろ?

★ それが 9回の2アウトまで抑えていたのにキャッチャーのサインに首を振って投げた球を打たれて逆転負けさ だから俺の責任とも言えるのさ

◎ 野球の神様もドラマチックが好きだよな~

★ 翌日教室でうなだれていたらクラスのマドンナが『試合には負けたけどあなたとても輝いていたわよ』と笑顔で励ましてくれたことが嬉しくて悔し涙がうれし涙に変わったね

◎ やれやれ 野球の神様から見捨てられたお前を女神さまが可哀そうに思ってマドンナをよこしたんだよ それで今の奥さんはそのマドンナさんだろ

★ 違うよ 彼女はその時優勝して甲子園に行ったチームのキャプテンと結婚したよ

◎ あじゃ~~ 女神さまもドラマチックが好きだな~~

★ 俺の女房は試合に負けた時『バッカじゃないの』と俺を睨みつけた女子マネージャーのタドンナさ

◎ なんだよ そのタドンナって

★ 都会の人は知らないと思うけど 炭の粉を野球のボールのように丸めて乾燥した燃料だよ 彼女は野球部員と一緒に毎日グランドに出てたから日焼けして部員の間ではマドンナに対抗してタドンナと呼んでたのさ たどんの様に黒い顔してたからね

◎ そうか 励ましてくれたマドンナは敵のチームのメンバーと結婚して 君に罵声を浴びせたタドンナが君と結婚するなんて 野球の神様は女神さまに遊ばれてるんじゃないのかな

【女神様】・・ピンポ~~ン

【野球の神様】・・御免

 

おわり

◎