会話のボクシングシリーズ 11 てんやわんや

11 てんやわんや

妻) あなた 大変 誠が明日帰ってくるんですって

夫) ほう 三年ぶりだな 土産話でも聞きながらゆっくり飲むとしよう

妻) そんな呑気なこと言ってる場合じゃないわよ

夫) バッタの引っ越しじゃあるまいし手足をバタバタさせて騒ぐんじゃないよ

妻) これが騒がずにいられますか 彼女も一緒に来るんですよ

夫) 何っ! 現地の女か? 目は青いのか? 金髪か?

妻) 知りませんよそんなの 兎に角現地でお世話になった方らしいわ

夫) それならガールフレンド程度だろ 騒ぐことはないよ

妻) それが彼女のご両親も一緒に来るそうなのよ もしかしたら結婚の約束をしたのかも知れないわ

夫) 何っ! それを早く言えよ お前が情報を小出しにするから緊迫感がズッコケて今一盛り上がらないじゃないか

妻) そんなことより あなた お客様をお泊めする部屋はどうしましょう

夫) 三人泊まるとすると俺たちの寝室しかないだろう

妻) そうよね そうなったら私は順子の部屋に寝るけどお父さんは誠の部屋はバンドやってたからドラムやギターが山積みで誠一人しか寝られないからベランダにでも寝てくれないかしら

夫) 馬鹿言うな! もう冬だぞ 亭主を冷凍食品にしてカマキリみたいに俺を後で食べる気か~っ

娘) うるさいな~~ 喧嘩するなら公園にでも行ってやってよ 私は受験勉強中で精神穏やかじゃないんだよ テーブルひっくり返すよ

妻) 順子 丁度よかった 誠から電話が有ってね 明日帰ってくるんだよ彼女を連れて

娘) へ~ 兄ちゃんやるじゃん 海外でナンパするなんて流石元バンドマンだね

夫) 感心してる場合じゃないんだ 彼女のご両親も一緒に来るんだよ

娘) えっ! それって若しかして

妻) そうなんだよ その若しかしての三人を私とお父さんの寝室に泊めると私とお父さんは難民になってしまうんだよ それでお父さんはベランダに寝るのはやだと言うから納戸にでも入ってもらって私は悪いけど順子の部屋に泊めてもらいたいんだよ

娘) え~~~っ

夫) 納戸では手足を伸ばせずダンゴムシのように丸まって寝るしかないから私も順子の部屋で寝るよ 順子悪いけどお前は庭に穴でも掘って寝てくれ

娘) 私はモグラか~~ それでも親か~~

    ♪ピンポ~ン ♪ピンポ~ン

妻) あら誰かしら 順子ちょっと出てちょうだい

娘) も~~っ・・・・・

  あっ! お爺ちゃんとお婆ちゃんだ いらっしゃ~い

婆) あら順子ちゃんすっかり美人さんになっちゃって嬉しいね~ 2~3日泊めてもらうよ よろしくね

妻) う~~~ん

夫) おい妻よしっかりしたまえ 心配することはない これから順子と一緒に三人分の穴を掘りに行くから

おわり