白髪の王子様の見聞録

⑨【布団から出られない】

(アラーム) ピッ ピッ ピッ  ピッ ピッ ピッ  朝だよ~ 朝だよ~

(寝坊助)  う~~~ん   バシッ

(アラーム) イテテ そんなに強く俺様を叩くことないだろ 軽くタッチするだけで音は止まるんだよ だいたいお主がこの時間にセッチングしたんじゃね~か

(布団)   アラームさん怒らない怒らない いつものことじゃない ご主人様は寝ぼけてるのよ

(アラーム) 分かってるけどよ 俺は叩かれる為に此処に鎮座してるんじゃないぜ 寝坊助が会社に遅刻しないよう親切に起こしてやってるのにアントニオ猪木みたいに強烈なパンチを食らわせやがってよ お蔭で俺様のほうが目がパッチリ覚めちまったよ

(布団)   ほほほほ あなたがご主人様と同じように寝坊したら不燃物のゴミと一緒に捨てられちゃうわよ それよりそろそろ二度目のモーニングコールの時間でしょ

(アラーム) だよね~ 二度目のコールは半端ないっすよ~ それ~~~っ

ビビビビ ジジジジ ガガガガ ドンガラガッチャ バッカンボッコン ギーギーギー

(寝坊助) ウルセーな~~ バシッ  あと5分 頼むあと5分黙って寝かせてくれ

(アラーム) バカ言ってんじゃね~よ それで何度遅刻したと思ってんだよ 俺様の目が黒いうちはもう絶対遅刻なんかさせないとアラームの神様に誓ったんだ

(布団)  今日のアラームさんは気合が入ってるわね でももうご主人様は目を覚ましてるみたいよ 何かぶつぶつ言ってるもの

(寝坊助) 会社が布団の中にあったらいいのにな~~ 通勤ラッシュに揉まれなくて楽なんだけどな~~

(布団)  あらあらご主人様 会社が布団の中にあったら貴方の嫌いな課長様も怖い部長様もこの布団の中に潜り込んできますよ 課長や部長と抱き合って寝ますかご主人様

(寝坊助) ガバッ 俺死んでも会社に行く

 

おわり