白髪の王子様の会話ドラマ 時空神社シリーズ ジャイアント馬場 ①力道山との出会い

力道山との出会い
ジャイアント馬場さん お邪魔します 白髪の王子と申します
☆おう 待ってたよ 遠慮しないで中に入ってくれ
◎もう入ってますが
☆ど・どこだね 声はするけど姿は見えぬ ほんにお主は屁のようじゃ
◎ふざけて天井なんか見上げてないで下を向いて下さいよ下を
☆なんだ こんなところに座ってちゃ気が付かない筈だよ
◎これでも立ってるんですが・・・ しかし目の前で見上げるとまるでスカイツリーを眺めているようで首が疲れますな〜
☆ハハハ 私はまだ育ち盛りだからな その点お主は縮み盛りのようだの 身体検査を受ける度に身長が縮んでおろう
◎ガ〜〜ン 口でも16文キックを飛ばすとは知りませんでした 衝撃で胸の奥に大きな16文の足跡が残ってしまいました
☆ハハハ私の靴のサイズは32センチで本当は14文なんだ
◎それでは何で16文キックと呼んでいたんですか? ハッタリですか
☆当時日本には私に合う大きなサイズの靴が無いので外国に行くたび靴を買っていたんだが たまたま同行していた記者が私が買った16号サイズの靴を見て16文と勘違いして記事に載せたもんだから皆んなそれに習って16文と呼ぶようになっただけの話よ 
◎そうですか 勘違いでも文で良かったですね若しセンチと勘違いしてジャイアント馬場の足は実は16センチの小足だったなんて発表されてたら16センチキックなんて迫力ないですもんね
☆まあそうだな 俺は16トンキックでも良かったけどな
◎それはちょっとオーバーですな
☆何を言うか それなら一発御見舞いしてやろうか 『君の瞳は一万ボルト』なんて歌が有ったがそれに比べれば16トンなんか慎ましいもんじゃないか
◎はいはい どうせ貰うならキックよりもお酒の方が嬉しいですね
☆お主はさらっと催促するね まるで当然かのように
◎はい 馬場さんは のぼ〜〜っとしていて遠慮してたら水の一滴も出そうにありませんので馬場さんが気が利かない分私が気を利かせているのです
☆さすが生きてる人間の言葉には毒が有るな 君は天国で品の有る言葉づかいを勉強した方がいいな 
◎お説教を頂くよりお酒を頂いた方がお話も楽しくなると思うのですがいかがでしょうか
☆ハハハハ 俺が国民栄誉賞を受賞したとか嬉しい土産話しでも持って来たのなら美味しい酒をたんと御馳走するんだが
◎そんな話は微塵もありません 今日は日本ダービーが有りまして 美しい駿馬達が疾走した後の凸凹の馬場をテレビで見ましてジャイアント馬場を思い出しただけです
☆お主はわざわざ天国までやって来て喧嘩を売りに来たのか?それとも只酒を飲みにきたのかね?
◎いえいえ インタビューです ご機嫌麗しくお暮しかどうか拝見させて頂くための訪問で御座います
☆お主に合うまではご機嫌麗しくお過ごしであったが お主と話せば話す程何かむかついてきたようじゃ 聞きたい事があるならさっさと聞いてくれ それが済んだら下界の話でも聞きながら酒でも飲もうじゃないか
◎それはどうも・・・それでは早速ですが力道山との出会いについて伺いたいのですが どんなきっかけで力道山の門下生に成ったんですか
読売ジャイアンツを首に成り大洋ホエールズに入る予定だったが怪我をしてそれも断念して途方に暮れていた時親しい知り合いから紹介されたんだ その時力道山は海外遠征で留守だったんだが帰国後体力テストを受け入門を許されたのさ
力道山のトレーニングは厳しいことで知られていますが如何でしたか
☆いかがもレディーガガもあったもんじゃないよ 気を失ってからが本番のトレーニングだったね そんな時の力道山の口癖は決まって『力士の稽古はこんなもんじゃないぞ』だったね 相撲で鍛えた刃金のような体を更に格闘技用に鍛え上げた力道山の姿は俺から見てもとても大きく見えたよ 
◎そうですか 確か私が中学1年か2年の頃親父に連れられて駅前の街頭テレビで力道山の試合を見たことがありますが押し合い圧し合いで生きた心地がしなかったですよ すごい人気でしたね
☆長い間国民を縛り続けてきた禁欲のたがが外れたんだよ 戦争中は一切の娯楽も国を滅ぼすものと禁じられていたし敗戦のショックから立ち上がるには外国人レスラーをやつける力道山の試合こそ恰好の娯楽だったんじゃないかな 
◎そういえば私の親父の入れ歯もよく外れてましたしがあれは締まりが悪くて見ちゃいられませんでしたよ
☆あんた本当に白髪の王子かね 白髪の浮浪児の間違いじゃないのかね たがが外れるのと入れ歯が外れるのとを一緒にしないでくれよ
◎今の若いもんに『たがが外れた』なんて言っても何の事だか分かりませんよ 戦争中の話をしても日本が何処の国と戦ったのかさえ分からない連中が増えてきているんですから
☆若者達が俺達の会話を古臭くて分からんと言えば我々は若者たちのはやり言葉がわからんと嘆く 何時の時代も同じよ ただ力道山は違ったね 大人から子供までが敵と戦うウルトラマンを見るように熱中して応援していたのを羨ましく思っていたよ 俺がどんなに頑張っても力道山を超えることなんか出来やしないと感じさせるようなオーラは正に一万ボルトだったね
◎なんのなんの馬場さんだってナイターの照明位のオーラは有りましたよ なんたってジャイアンツの選手だったんですから 野球少年だった時代からプロ野球選手として活躍した頃の話しを聞かせて頂きたいですね お酒を飲みながら・・・・・

続く