白髪の王子様の会話ドラマ 時空神社シリーズ 谷風と雷電 ③相撲の神様

③相撲の神様
(木村)・谷風さんも雷電さんも生前は江戸・大阪・京都等で地鎮祭勧進相撲を経験してますので時空神社での神事もそれほど気に掛けることも無いのですが 天国では式典を始める前に神様をお迎えする行事と式典が終了した後の神様をお送りする行事が無いということを御承知おき頂きたいのです
(雷電)・えっ? 神様をお迎えしないで神事を行うなんて可笑しくありませんか それでは神事ではなく単なるおままごとになってしまうじゃないですか
(木村)・そうです神事は大人のままごとの様なものなんです 雷電さんに聞きますが相撲の神様はどこにいらっしゃるとお思いですか
(雷電)・それは天国でしょう 式典を行うときは天国から神様をお迎えするのです 神様があまくだることを降臨と言いますから
(木村)・成程 それを御存知なら神様の懐である天国の時空神社の境内で行われる式典にはお迎えしなくても常に神様は鎮座されていることに気が付きませんか
(雷電)・あ〜〜 成程 天国の時空神社で神様をお迎えするという事は 怖い女房が居座っているのに懲りずにまた怖い女房を迎い入れるようなもんですね 
(木村)・例えが悪いですがそのようなもんでしょう
(谷風)・しかし土俵祭にお迎えする神様は土俵上での取り組みで怪我などないよう安全を祈願するための土の神様ですから時空神社とは関係ないように思われますが
(木村)・土俵の神様はどこからお迎えするのですか
(谷風)・土の中からです
(木村)・ほ〜う すると土俵の神様は普段はミミズやモグラと一緒に暗い土の中で暮らしているのですね 暇な時はミミズやモグラに相撲の稽古などしてるのでしょうか
(谷風)・ムムムム
(木村)・火の神様は火の中で暮らしてるのですか?よく焼けどしませんね 水の神様は水の中にいらっしゃるのですか?冬は寒いでしょうね 受験の神様は筆箱の中でしょうか? 恋愛の神様は? 交通安全の神様は? 商売繁盛の神様は?
(谷風)・ちょっと待って下さい 機関銃で乱射するよに私を責めないで下さい
(木村)・ハッハッハッ これは失礼しました このように日本の国だけでも八百万の神様がいらっしゃいますがそれぞれの神様がバラバラに住んでいるのではなく地上からの要請が有った時天国からそれぞれの場所へ降臨するのです 時空神社は全ての神様と地上の全ての人々とをむすぶ架け橋となっているのです
(王子)・横から口を出して申し訳ありませんが 私達人間はどんなに頑張ってもウジ虫一匹造ることはできません 地上の生物や太陽や月を創られた元祖の神様も天国にいらっしゃるんですか?
(木村)・どんな神様も太陽や地球どころかウジ虫一匹造ることはできないのです もし神様がウジ虫を御造りになったとしたらウジ虫はその神様に感謝のお祈りを捧げることでしょう 貴方はウジ虫が神様に向かって両手を合わせて祈っている姿を見た事がありますか
(王子)・いいえ ウジ虫の手がどこにあるのかも知りませんので
(木村)・そうでしょう 祈らない者には神様は存在しないのです 太陽も地球も然りです 神様の全ては地上に生きる人間が心の拠り所として創造したもので人間が生きる為に必要な願いの範囲を超えることは出来ないのです
(雷電)・私達は相撲の神様は天照大神住吉大神・戸隠大神の三神と教えられましたが
(王子)・私は戸隠大神・鹿島大神・野見宿禰神社の三神と本で習いました 最近横綱に昇進した稀勢の里はその野見宿禰神社横綱の土俵入りを奉納しております
(木村)・どちらも正しいのです 日本の神様はおおらかですから俺が本当の神様だ等と喧嘩することもありません 信じる人の心に神様はいつも寄り添っているのです 『鰯の頭も信心から』との言葉がある通りです
(谷風)・木村さん 有難う御座いました これで安心して時空神社の地鎮祭勧進相撲の招待を受けることが出来ます こまごまとした仕来たり等についてはおいおい教えを頂くとして このへんで歓談に移りお酒等一献傾けたいのですが如何でしょうか
(王子)・いいですね〜 そうしましょう そうしましょう
(谷風)・王子殿 そなたには聞いておりませんよ 私は行司の木村庄之助さんに伺っているのです
(王子)・すみません 私の勇み足でした
(木村)・ハハハハ 谷風さん 少ないが私の手土産をつまみに一献頂ければ私もおおいに望むところです
(王子)・一献と言わず二献でも三献でもいきましょうよ
(谷風)・王子殿には何も聞いておりませんよ
(王子)・これはまた失礼おば・・・
(雷電)・ところで王子殿は何か手土産等はお持ちじゃありませんか?
(王子)・先程地上から持参したガラケーの携帯電話を雷電さんにお貸ししましたがそれだけです
(雷電)・それでよくも二献でも三献でもいきましょうなんて言えるね
(谷風)・雷電 お主も納戸の焼酎を勝手に飲んだくせに大きな口はきけないぞ 勝手の戸棚に日本酒と焼酎が入ってるから早く持ってきなさい
(雷電)・王子殿も一緒に来てコップや箸等を揃えてくれないか
(王子)・お安い御用で
(木村)・谷風さん 私も正直久し振りの勧進相撲で浮き浮きしてまして飲まずにはいられない気分なんですよ
(谷風)・ハハハハ私もこうして座っているのにお尻が地に着かないでフワフワ宙に浮いてるような感じなんですよ
ハハハハ ハハハハ
(雷電)・お待たせしました 準備が整いましたので どうぞ・・・
(谷風)・それでは木村さん 勧進相撲を祝して乾杯といきますか 雷電も王子殿もコップを持って日本酒でも焼酎でも好きな酒を注ぎなさい ここには芸者もコンパニオンもいないから手酌でな ハハハハ
(雷電)・あれっ 王子殿は何時の間にか二つのコップに日本酒と焼酎が入ってるじゃないですか
(王子)・はい お酒の神様が持って来てくれました
(木村)・それは良い神様を持ちましたな〜
ハハハハ ハハハハ ハハハハ ハハハハ

つづく