白髪の王子様の好奇心 113 上品な人、下品な人

上品な人、下品な人
学校で習った訳じゃないのに誰に聞いても上品と下品の判断基準は大方一致しています。
上品な雰囲気を醸し出すオーラは長い時間をかけた生活環境で熟成されるものですから成金がブランド品で身なりを飾ったり気取ってみても直ぐにメッキが剥がれてしまいます。
我々中品族はせめて下品な奴と呼ばれないよう心掛けることが肝心なようです。そこで一般的に下品と呼ばれる行動とはどんなものか、あるアンケート調査を覗いてみましょう。
●下品な食べ方
昔から食べる姿で育ちが分かると言われます。クチャクチャと道悪を歩くような音を立てて食べたり、汁物を鼻をすするようにズルズルと音を立てて吸い込んだり、皆んなが食べているのに楊枝をくわえてシーシー音を立てながら歯の隙間を掃除したりと音に関する苦情が多いようです。なかには食べ物を口に入れたままおしゃべりしたり、料理を前にして一人気を吐いて唾を飛ばしながら話すやからも意外と多く見かけます。コントじゃありませんが『ハークション』なんて料理に向かってクシャミでもされたら出かかったお箸も引っ込めてしまいますよね。非常識=下品ということでしょうか。こんな連中はテーブルと一緒に引っ繰り返したくなりますよね。それではやっちゃいましょうか『そ〜れ・ ドンガラガッチャン・ゴロンゴロン』。
●下品な言葉使い
これは下品な言葉と下品な話し方の両方を含んでいるようです。友達同士や親しい仲間同士ではOKでも会議や集会、特に目上の人と話す場合は言葉を選ぶ必要があります。言葉を選べば態度も自然に良くなるものです。
『聞く力』という本がベストセラーとなりましたが『話上手は聞き上手』と昔から言われております。石につまずいたようにトットトットッと相手に話す間も与えずに一方的に話し掛ける人がいますが、次第に相槌うつのも疲れてしまいます。こういう人はたいてい噂話が大好きです。普段は魚が死んだようなドロ〜ンとした目をしていても一旦人の悪口を言い出すと目は100万ボルトに輝くのです。意地悪なお局様の典型と思われがちですが最近は子供の頃から陰険ないじめが目立っているようで悲しくなります。いまではメールも立派な言葉使いであります。
丁寧な言葉使いが必ずしも上品とは言えません。『あらっ 素敵なワンピースですこと うちの愛犬のメリーちゃんも同じ柄の服を着せてお散歩させておりますのよ ホッホッホッ』こういうザーマス婦人は肥溜めに突き落としたくなりますよね、それじゃ、やっちゃいましょう『ウオーリャー バッチャーン』ウッ、しぶきが顔に・・・。
●人前でのオナラ
オナラは上品なオナラとか下品なオナラとかの区別はありません。わざと出すのが下品で思わず出るのが上品という訳でもありません。音を出さないでスーッとやるのが上品でブ〜ッと音を出すのが下品ということでもありません。『出物腫物ところかまわず』と言われますが人前では歯を食い縛り肛門に力を入れて我慢しましょう。沈黙は金なりとはこういう時に使う言葉であります。しかし思わずプッと出てしまうこともあるものです。一昔前までは良家の娘さんが外に出る時には必ず召使の婆さんを伴に付けました。それは護衛のためではなく、娘さんが思わず『プ〜』とやらかした時に透かさず『お嬢様申し訳ありません婆のそそうをお許し下さい』とオナラの罪を被るための同行だったようです。本当の話ですよ。嫁入り前の娘に傷を付けたくないという親心であります。
●立ち振る舞い
これは立ったり座ったりする動作だけでなく、立ち姿や歩き方挨拶の仕方等様々な仕草に人柄が出るということでしょう。繁華街に出掛けるとたいてい一人や二人、気分を悪くする相手に遭遇します。何か文句でもあるかのように睨みつける者、、あるいは上から下までジロジロ嫌な眼つきでなめまわすオバサン、こういう人は下品が服を着て歩いているようなものです。上品な人は他人を気にして見るのではなく、他人から見られていることを意識しながらもさりげなく人様に迷惑をかけぬよう歩いているものなのです。
アンケートにはお金の使い方が汚いとか不潔な服装とかまだまだ色々書かれておりますが、自由のはき違いの人が増えてきたのではないでしょうか。私達中品が上品になろうとしてもなかなか難しいものがありますが下品になるのは至極簡単であります。隙を見せると直ぐに下品の権化がすり寄ってきます。ほらほら聞こえませんか?下品の権化があなたを呼んでいますよ『おいで〜おいで〜こちらへおいで〜ヒ〜ッヒッヒッ・下品は楽で長生きできるよ、ヒ〜ッヒッヒッ・ヒ〜ッヒッヒッ』


シャガールが空のキャンパスに描いたような日の出前の朝焼けです。