白髪の王子様の好奇心 22 もう幾つ寝るとお正月

♪もう幾つ寝るとお正月♪
幼い頃ラジオから流れてくるこの歌を聴きながら指折り数えたものである。
しかし最近この曲を聴くことは稀である。その大きな理由の一つは年々盛大になってきた
クリスマスの影響であろうと私は思っている。
12月に入るとテレビもラジオも商店街もクリスマスソング一色となり、そのクリスマス
が終わると直ぐにお正月である。
子供もマスコミもお正月を指折り数えて楽しむ暇もないのである。
テレビが普及してなかった当時の下町を歌にすればこうであろう
♪スーパーもネ〜 コンビニもネ〜 ケーキ屋なんかどこにもネ〜 俺こんな街ヤダ〜♪
どこかで聴いたような歌そのままの町であった。しかし普段口にすることのないお餅や
おしるこが食べられるだけでわくわくしたものである。
一年中食べたいものが食べられ『何が食べたい?』と子供に聞いても『何でもいい』と答
が返ってくる現代、日頃の美食が返って食の楽しみを奪ってしまう逆効果は皮肉である。
衣服もお正月だけは穴のあいたズボンもいつの間にか塞がっていた。それがズボンと全く
違う色であっても嬉しかったものである。
今がいいとか悪いとか言ってる訳ではない。流行りの色あせたジーパンの膝が切れている
のを見て田舎のお婆ちゃんが『これでズボンを買いなさい』とそっとお金をくれたという
若者の話はよく聞く。そのお婆ちゃんと同じく時代の流れに追いつけないだけのことである。
どんどん早くなる時の流れから飛び降り、今宵はあの懐かしい歌を口ずさんでみよう
♪もう幾つ寝るとお正月 お正月には凧あげて こまを回して遊びましょ 早くこいこい
お正月♪・・・・・・ウイ〜〜
   
             良いお年を