もしもアパートに妖怪が住んでいたら
◎ ヤッホー 念願の一人暮らしのオープンだぜ~~ 築40年以上と聞いたけど駅から近いし家賃も安いしこれで上等上等
さ~て部屋に転がって記念の一句でも詠むか
え~~~『わが城は ギターは無くとも オンボロロン』と・・・アハハハ 我ながらアッパレ アッパレ アハハハ
(パチパチ パチパチ)
◎ あれっ? 誰か拍手したみたいだけど空耳かな さて そろそろ明美も来る頃だからリュックに詰め込んだ荷物を出してとりあえず押し入れにでも押し込むか
(こんにちわ)
◎ オットー びっくりした~~ だ・誰だね 君は~ 時季外れのハロウインの衣裳なんか着て誰と隠れんぼしてるのかね 早く家に帰りなさい
(お言葉ですが 私の住まいはこの押し入れなんです)
◎ 押し入れに他人が住んでるアパートなんか有るわけないだ・だ・だ・・・もしかして君は妖怪かね?
(お察しの通りです このアパートが出来る前からこの地に住んでる妖怪です)
◎ 驚いたな~ それじゃこのアパートが出来た頃から住んでる先輩じゃないか
(先輩と言っても私は妖怪ですから威張ったりしませんよ 明るくて優しくて親切で正直でとても縁起の良い妖怪です)
◎ 自分を褒めるにしてもちょっと褒め過ぎの誇大広告じゃないのかね
(おっしゃる通りです 自分で褒めないと誰も褒めてくれませんから)
◎ 成程 確かに正直な妖怪のようだけど このアパートには両親も友人も彼女も来るので君を見たらビックリして寄り付かなくならないか心配だな 俺は幼い頃からゲゲゲの鬼太郎の大フアンで一度でいいから妖怪と会って見たいと思っていたから平気だけどね
(ご安心ください 私の声も姿も私が心を許した人にしか聞こえないし見えませんので)
◎ そうかい それならいいけど 私にも客人にも悪さしないでくれよ
(承知しましたご主人様)
◎ おいおい メードカフェみたいな言い方すんなよ
♪ ピンポ~ン ♪
◎ おっ 明美だな 妖怪君 ちょっとドロンしてくれないか
〈承知しましたご主人様〉
❤ 雄太郎いる~~? 開けるわよ~~
◎ お~う 鍵は開いてるよ 待ってたよ~
❤ お邪魔しま~す あら! 押し入れの前にチョコンと座り込んで片付け中かしら
◎ 俺もちょっと前に着いたばかりで何をすべきかボ~ッとしてたんだよ
❤ 一人暮らししたとたんボケないでよ 飲み物も何にも無いじゃないの 私そこのコンビニで何か買ってくるわね じゃ~又ね
◎ 妖怪君 あれが僕の彼女なんだ どうかね
(今一ですね)
◎ おいおい 自分のことはさんざん褒めたくせに俺の彼女は今一かよ
(でもしっかりしてるから奥さんにするにはいいかも きっと飲み物の代金もしっかり請求されますよ)
◎ まさか 今日は俺の引っ越し祝いに来てくれたんだから飲み物ぐらい彼女のおごりに決まってるさ
❤ ただいま~ 適当に買って来たよ どうかな
◎ お~う ビールにつまみか 気が利くね 早速乾杯しよう
❤ その前に はいっ1580円頂きます
◎ おいおい 今日は俺の引っ越し祝いに来たんだろ 明美のおごりじゃないのかね
❤ 甘い甘い これからは電気代もガス代もトイレットペーパーの代金もみんな自分の財布から払うんだよ 人に頼ってたら一人暮らしなんかできないよ はいはい早く2千円出しなさい お釣りは手数料としてもらっておくからね
それから私はこれから飲み会があるから帰るわね 悪いけど一人でチビチビ飲んでちょうだい それじゃ~ね~ バ~~イ
◎ 妖怪君 彼女帰っちゃったよ
(今一ですね)
◎ アハハハ どうだね君はビール飲めるかね
(はい 大好きです ロング缶2~3本ぐらいはいけます)
◎ よ~し それじゃ引っ越し祝いの乾杯に付き合ってくれないか
(いいとも~~)
◎ カンパ~イ (カンパーイ)
◎ もう一度 カンパ~イ (カンパーイ)
(ご主人様 久し振りにビールを頂いたもんで もうほろ酔い気分になってきました)
◎ おいおい妖怪君どこに行くんだね ちょっと ちょっと
(妖怪の私に何か ヨウカイ な~んちゃって)
◎ 参ったな~ 妖怪が駄洒落を言うとは思わなかったな アハハハ
(ご主人様のオンボロロンにはかないませんよ)
◎ あっ さっき拍手したのは君だったんだ
(はい ご主人様)
◎ ハハハハ 楽しい一人暮らしになりそうだ 妖怪君もっと飲みたまえ 飲みたまえ
(あの~~もうビール空ですけど それにツマミも・・・)
***この声は遠慮気味に言ったのでご主人様には届かなかったようです***
おわり