白髪の王子様の会話ドラマ  ドリーム⑤魔女と怪しい占い師

⑤魔女と怪しい占い師
◎いらっしゃいませ どうぞお座り下さい
●手相だけで本当に将来のことが分かるのかい
◎はいはい 看板には手相と書いてありますが私は人相・風水・占星術・易等も広く学び地元川越では10本の指に入る有名な占い師でありますのでご安心下さい
●川越には何人の占い師がおるのじゃ
◎はい・・10人でございます
●確かに10本の指には入っておるの しかし有名なわりには誰も並んでいないではないか
◎ほんの2〜3分前に看板を出したばかりでして しかも私は週に一度か二度霊力が全身にみなぎった時にしか店を開けないので事前に並ぶ人もいないのです 信じるか信じないかは貴女様の自由でございます さて料金は5分ごとに千円 最長15分で三千円となります この砂時計で5分ごとに延長の確認をしますので安心してご相談出来ると思いますが如何いたしましょう
●では頼むとしようか
◎それでは早速お尋ねしますが・どのようなご相談でしょうか?
●この秋に魔女の集会が有り そこで私が次期の女王に選ばれるかどうかを占ってもらいたいのじゃ
◎ほ〜う 女王様ですか お見かけしたところハロウインでよく見かける魔女の様な衣裳をまとっていますが仮装大会での優勝を狙っているのですか?
●仮装では無い 私は本物の魔女だ そなたが如何様な占い師であったらその口を肛門と逆転させて口からオナラと糞を出し 肛門で話をするようにしてやるからそう思え
◎そ それは困ります それでは私の話す言葉は皆んな臭い話に成ってしまいます 私はオリンピック選手と違ってプレッシャーに弱いので何卒穏やかにお願い致します
●なれば心して占えば良い
◎はいはい 本物の魔女様とは知らずに失礼を申し上げました 魔女様は若しかして四谷怪談のお岩様とはお友達で御座いますか?
●あれは幽霊で魔女とは違う
◎は〜あ そうですか どうも私は幽霊とかお化けとか妖怪とか魔女の区別が分かりませんな
●そこの砂時計を取っておくれ
◎はい どうぞ 某デパートで購入した正確な砂時計ですのでご安心下さい
●それでは これから幽霊とお化けと妖怪と魔女の違いを説明してあげよう 5分で千円 最長15分で三千円頂くがよろしいか?
◎ちょっとちょっと魔女様 ここは私の仕事場ですのでここで商売されては困ります 御勘弁を
●それなら余計な事はしゃべらず さっさと手相を見ればよかんべ
◎はいはい 承知しました 魔女様は東北の出身のようですな・・・これまた余計なことを申しました それでは右手から拝見させて頂きます 
●右手と左手とはどう違うのじゃ
◎はい 左手は生まれ育った運勢とか先天的な才能 さらには対人関係などが手相に刻まれております お客様はこれから先の運勢をお尋ねなので右手となります
●さようか それでは見てもらおう
◎おやおや こんなに爪を伸ばしてはかえって不自由ではありませんか? 然もこんなに先を尖らせたままで鼻糞をほじくったら血がでますよ・・・・又余計なことを申したようで 
●占い師さんよ さりげなく砂時計を逆さにして動かしているけど未だ幽霊の話と鼻糞の話だけで手相なんか見てないではないか 元に戻しておくれ
◎いえいえ このさりげない会話から本題に入るのが占いの方程式でありまして
●そんな方程式など知らん そなたが戻さないなら私が戻そう それっ↑↑↑・・・
◎あっ あっ 砂が下から上に落ちてる ああああ
●さあ これで良し 先を続けておくれ
◎魔女さんも随分と細かいところに気を使いますね 着ている物は上から下まで真っ黒ですが家計簿は上から下まで真っ赤っ赤でしょうか? ・・これ又余計なことを 未だ砂時計は動かしてませんのでご安心を ところで深く被った帽子の隙間からちらっとお顔を拝見しましたが ご主人と喧嘩でもなさったのですか?
●何が言いたいのじゃ
◎目の回りが殴られたようなアザで黒ずんでおりますが
●これは化粧じゃ ほっといてくれ
◎これは又失礼を申し上げました 気になさらないで下さいませ それでは砂時計を動かしまして手相を見させて頂きます ・・・ふ〜ん ふ〜ん成程 ほほ〜う そうかそうか成程
●これこれ占い師 自分で感心してないで私に手相の内容を言ってくれなければ分からないではないか
◎あっ 大変だ
●ど どうした そんなに悪い相が出ておるのか?
◎出掛ける時に玄関の鍵を掛けるのを忘れてしまった どうしよう
●おい 占い師 首を絞めるぞ もしかして〜
◎そうだ 貴女は魔女さんでしたよね ホーキを貸していただけませんでしょうか それにまたがって飛べば往復10分位で戻れますのでその間留守番をお願いしたいのですが
●もう良い これでは一年中閉店セールをやっている店のがよっぽど信用できるわい 無駄な時間を費やしたお返しにそなたに一つプレゼントを授けよう 自分の手相を見てみるがよい
◎えっ? 自分の手相ですか わ〜〜〜〜っ 生命線が無くなってる〜〜〜〜 わ〜〜〜〜〜っ

世にも恐ろしいお話でした ご〜〜〜〜〜〜〜〜ん

                   おわり