白髪の王子様の見聞録 ほっこりアイランド

㉑花魁言葉

(ブ) あっ!王子様 見て下さい 海から5~6人上がって来ましたよ きっとSOSののろしを見て泳いで来たんでしょう 

★あの先頭の人は何処かで会ったような気がするな・・・・そうだ あの人はマッチョマンゾーンのコーチだ 『コーチ コーチ 白髪の王子です 良く来てくれました』

(コ) や~貴殿でしたか 海辺をトレーニング中にのろしを見たもんで急いで仲間と泳いで来たんですよ お元気そうで安心しました ところでどうなさいました?

★いの一番に駆けつけて頂きまして有難うございます

(コ) いえ 駆けて来たんじゃなくて泳いで来たんです

★あ そうでしたね 駆け泳いでくれまして有難うございます

(コ) 駆け泳ぎではなく平泳ぎでまいりました

★ちょっとコーチそんなノミのオシッコにたいな小さな事はどうでもいいじゃないですか 恥ずかしい話ですがブー太郎君にこの島を案内されたらメチャクチャ気に入りまして長居をし過ぎました 気が付いたら引き潮で出来たたった一つの道が満ち潮で水没してしまいまして帰れなくなってしまったんです

(コ) なんだ そんな事でしたら一緒に泳いで帰りましょう 20分も泳げば本島に着きますから

★それが出来たらSOSののろしなんか上げませんよ マッチョマンゾーンで私の体力テストを行ったコーチだから分かるでしょ こんな体力で生きてるのが不思議だと言ってたじゃないですか 今海に飛び込んだらあばら骨がバラバラになり2メートル泳いだら3メートルは沈みますよ

(コ) そうですか 潜水艦よりも早く潜れるなんて思ったより体力があるのかも知れませんね ところでブー太郎君は泳げないんですか?

(ブ) 体重の90%は金属ですから無理ですよ インコのピーチク・パーチクも鳥なのに空は飛べません 空を自由に飛び回れる鉄腕アトムは私達ロボットの憧れです

(コ) そうなんだ しかしインコロボットのピーチク・パーチクちゃんなんか口は軽いし話も浮いてるから飛べそうな気がするけどな~ 勿論ちょくちょく飛んで来られたら困るけどさ ハッ ハッ ハッ ハッ

(ブ) あっ!向こうからまたドローンが飛んで来ましたよ王子様

(コ) あれは本部からのドローンですよ

★今度はかなり大きなドローンだね UFOみたいだ

(ブ) あれっ!あのドローンにピーチクとパーチクが乗ってますよ これは想定外だったな~

(コ) あじゃ~ 噂をすれば何とやらですね 我々はそろそろ失礼しますか

(ブ) 逃げないで下さいよ 何しに来たんですか ピーチクとパーチクの口撃に耐えるには一人でも多いほうが助かるんです ほらほらもうドローンから降りて来ましたよ

(ピ) まあ王子様 お久しぶりでありんす 適当にお元気そうでようおざんした

(パ) ピーチク 王子様とはさっきまで一緒だったじゃあ~りませんか しっかりしておくんなまし

(ピ) あら そうざんしたかも ほほほほ 横にいるブー太郎は相変わらずお下品な顔しておりますな~ 私に遇えて嬉しいはずなのに黙りこくっちゃって 若しかしてわっちに恋をして無口になったんかしらん

(パ) ピーチク そんなことござりんせんことよ ブー太郎が恋をしてるのはこのわっちにきまってるじゃあ~りませんか

(ピ) あらあら そうざんしたか お地蔵さんがそれを聞いたら腹を抱えて笑い転げるざんすのことよ ほほほほほ あら 木陰に隠れるように立ってるのはマッチョマンの人たちじゃあ~りませんか そんなところで筋肉をピクピクさせたって魚なんか釣れませんことよ ほほほほ

(ブ) おい お前達 急に話し言葉がおいらん言葉になっちまってどうしたんだよ

(パ) ロボットクリニックのドクターにピーチクの言語障害を治療してもろたら花魁言葉のチップに交換されたのでざんす 私も双子なので一緒に交換したのでざんす 素敵ざんしょ 

★ところでピーチクとパーチクは何でこのドローンに乗って来たんだね

(ピ) そうそう そうざんすのことよ 大事なことを忘れてたざんす ご主人様からの伝言を預かってきましたよって耳をかっぽじいて聞いておくんなまし 『島がお気に召したのであれば気が済むまでゆっくりなさって王国のプランを練って下さい』との伝言でありんす

(パ) それから このドローンに一週間分の水と食料とお酒が積んであるので避難小屋でゆっくり休んでケロケロと言ってたざんすのことざんす

★有り難いことだがロボットドクターも大分お疲れのようだな 花魁言葉がかなり乱れているようだ

(ピ) そんなことなかんべ わっちらの花魁言葉は京都弁よりも優雅で美しいざんすのことよ ねえパーチク

(パ) んだ んだ

  つづく