白髪の王子様の見聞録 ほっこりアイランド

 

 

㉒ハイブリッド人間

★ピーチクとパーチクはドローンが気に入ったようだね

(ブ) 鳥なのに飛べないことを悔しがっていましたからドローンに乗ることによって自分の力で空を飛んでる気分になって有頂天になってるんでしょう

★浮かれてご主人様への伝言を忘れなければ良いのだが

(ブ) 大丈夫ですよ 王子様の伝言は録音されていますから ところでこんなに沢山の食料と水 それにお酒まで届けてくれましたよ

★有り難いことだ 安心したら急にお腹がすいてきたよ まだお昼も食べてなかったからね

(ブ) 飲んだり食べたりしないと生きてゆけないなんて人間って不便ですね

★生物は皆他の生物を食べないと生きてゆけない だからその罰として寿命があるんだと思うんだ しかし私の思いとしては食べる嬉しさや飲む楽しさを知らないロボットは可哀相な気もするんだよ

(ブ) ロボットクリニックの先生の話だとロボットでも改良すれば食べたり飲んだりすることも出来るそうですが私は断りました

★おや 勿体ない 何故断ったのかね

(ブ) ロボットでも飲んだり食べたりすればオシッコやウンチをすることになるそうです 王子様だって私が立小便したり 草むらでウンチする姿なんか見たくないでしょ

★そうだな~~ロボットのウンチってどんな形でどんな匂いがするんだろ・・・

(コ) ちょっとお二人さん 食べ物を前にして話す話題ではないと思うんですが

★ハッ ハッ ハッ コーチ聞いてましたか 食料も届きましたので急いでこの島を出る必要もなくなりました 一時はどうなるのかと心配しましたがマッチョマンゾーンの皆様がいの一番に駆けつけて頂きとても勇気付けられました お礼と言ってもこれはご主人様から届けてもらったものですが再会を祝って皆さま一緒に乾杯しましょう

(コ) 我々全員が飲み始めたら10分もしないうちにこの一升瓶は空になりますよ

★どうぞどうぞ これから泳いで帰るんですからその程度が適量でしょう

(コ) 我々は帰りませんよ

★ えっ? 帰らないんですか? お酒のお替りはありませんよ

(コ) 目の前にこんな美味しそうなご馳走があるのにこれを食べないで帰るのは失礼というものです それに『飲んだら泳ぐな 食べたらごろ寝』という格言もありますから

(ブ) そうですか それなら飲んだり食べたりしないで帰ってもよろしいですよ

(コ) ちょっとちょっとブー太郎君 涼しい顔して暑苦しい事言わないでよ もう手が勝手に動いて手前の焼き鳥を掴んでいますよ

(ブ) マッチョマンの皆さんは私達を助けに来たんですよね

(コ) ええ そのつもりですが

(ブ) それなのに王子様の食べ物を皆さんで食べ尽くしたら王子様は遠からず骸骨になってしまいますよ

(コ) 平気平気 聞くところによると王子殿は埼玉県人だから草だけ食べても生きていけるそうだ ねえ そうですよね王子殿

★めえ~~ めえ~~

(コ) ハッ ハッ ハッ 王子殿は食べ物が無くなったらヤギに変身して草を食べるそうだ

(ブ) 車もハイブリッドが主流の時代ですから人間も食料が無くなったら化学エネルギーで代用出来るようハイブリッド人間に進化できないんですかね そうすれば飢餓も餓死も無くなると思うんですが

★素晴らしい提案だけど人間が化学エネルギーで動くようになるとロボットとの区別が難しくなるね

(コ) 自分はベッドに寝ながら自分の分身ロボットに仕事を任せたり友人と一緒に旅行に出かけたり出来る時代です 自分の分身がロボットなんですから人間とロボットの垣根も薄れつつあるんじゃないでしょうか ロボットが人間に近づいてるんじゃなくて人間がロボットに近づいているような気がしますね

★そうですね ロボットと人間が結婚する時代も来るかもしれませんな

(コ) どうですかね王子殿 時代の先取りをしてブー太郎と結婚しては 気も合ってるみたいだし同性婚も珍しくない時代ですから 

★・・・・・

(コ) ブー太郎君はどう思うかね

(ブ) 王子様は高齢だから体力が心配ですね 結婚したとたん未亡人になるのは嫌ですから 以前マッチョマンゾーンで王子様の体力テストを行ったと聞きましたがその結果を教えてくれませんか

(コ) 忘れもしませんよあの記録は 腕立て伏せ3回 腹筋2回 懸垂はゼロ回 50メートル走は走る前から息切れしてダウン 100段の階段上りは見上げただけでパス 10キロのバーベル上げは踏ん張ってオナラだけ出してリタイア こんなところです

(ブ) そうですか それでしたら介護ロボットと結婚した方のがよろしいですね

★が~~~ん

つづく