ペット天国シリーズ 7 猫のひとり言

猫のひとり言
吾輩は平成生まれの猫である
昭和生まれの猫が生きていると言う噂は残念ながらもう聞くことは無い
時の流れは懐かしさを超えてむしろ残酷でさえある
代々語り部を継いでいる長老の話によると人間による技術の進歩は素晴らしいが精神は逆に退化して幼稚で我儘な者が多くなってきたと言う
このままだといずれ猫が人間の面倒を見なくちゃならない時がやって来るのではと長老は心配している
吾輩もそれを聞いて心配になり人間が心身共に成長することを願って猫神社にお参りに行って来たところである
それなのに只で食わしてるんだから芸の一つぐらいしろと我々の仲間の頭をポカリと叩く馬鹿がいる
我々猫が何故芸をしないのか それは哀れな犬達の末路を見ているからである
うっかり芸をすると次々と他の芸を押し付けてくるし そのうち芸をしないと餌も満足にくれなくなる そんな人間の心理を我々は知り尽くしているのである
犬は人間で言うお人よしだから人間の言うことを良く聞き愛嬌良く尾を振って意地悪な命令にも必死になって従う そうなると人間は益々可愛くなってその犬が逃げたり取られたりしないよう首輪を着け紐で繋ぐように成ってしまったのである
ここまで話せば猫が必要以上に人間に媚びたりせずクールで芸の一つもしない理由が分かったであろう しかしそんな人間と共存する以上多少は甘える振りもする 腹がすいたらニャ〜ンと甘い声を出して人間の足に頭から首にかてこすり付けるとたいてい喜んで餌をくれる   そうなればしめたもの 食べ終わればさっさと外に出て地球を闊歩する 人間よりよほど自由な人生 いや猫生を送っているのである
人間諸君 猫は人間の鏡なのである シャイな君の道しるべでもあるのだ 
分かるかな〜〜 分かんね〜だろうな〜〜〜
こんなギャグを笑ってくれる友も殆んど天国に行ってしまった 猫の世でも高齢者は暮らしずらいのである
人間は20歳で成人式を迎えるけど我々猫は20年たったら殆んど天国に行ってしまって成人式どころか葬式も間に合わない
時の流れは人間が思っている程平等ではないのである
スズメやツバメのように我々猫が人間と友好関係を築いているのは他の動物と違って我々を旨そうだ食ってやろうという危険な態度をとらないからである 若し寒いからといって猫鍋をやろうなんて考えたら我々には化けて出る特技が有ることを忘れてはなるまい
人間諸君 我々猫と協力して動物を含めた世界平和を築こうではないか こんなノ−ベル賞候補と成りそうな猫がいることを分かってほしい
分かるかな〜〜 分かんねーだろうな〜〜