白髪の王子様の好奇心 72 不思議なわらべ唄と童謡

不思議なわらべ唄と童謡
古くから子供達に親しまれてきた『わらべ唄』と『童謡』とは同じようでちょっとニュアンスが違うようです。
独断で区分すれば、大正末期から昭和にかけて北原白秋・野口雨情・西条八十らによって子供のためにつくられた歌と、その後現代に至るまでの子供向けの歌が童謡であり、それ以前の作者不明の歌はわらべ唄だと勝手に思っております。
わらべ唄には、おて玉唄・てまり唄・鬼遊び唄等様々あり、その多くは江戸時代に生まれ、親から子に伝承されてきたものです。
こうしたわらべ唄や童謡を改めて聞いてみると、大人になった今でもよく解らない歌詞が結構あることに驚かされます。例えば『ずいずいずっころばし』の歌です。
『ずいずいずっころばし ごまみそずい 茶壺に追われてとっぴんしゃん 抜けたらどんどこしょ』と続くこの歌の意味を子供に教えられる人は少ないのではないでしょうか。調べてみますと江戸時代の庶民の様子が目に浮んできますが、子供に対する教訓の歌でもあるようです。
次の歌はどうでしょうか。
『かごめ かごめ 籠のなかの鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀がすべった 後ろの正面 だあれ』 何となく分かるようで分からない歌ですよね。実は、この歌は子供には説明できないようなとても悲しい歌なのです。『後ろの正面だあれ』とは『私をこんなに苦しめた奴はいったい誰だ』と振り替えるような怖い内容なのであります。
地元の川越にある三芳野神社に伝わる『通りゃんせ』の歌にもちょっと首を傾げる言葉が出てきます。
『通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの細道じゃ 天神様の細道じゃ』ここに出てくる(通りゃんせ)は通って下さいという意味と通ってはいけないという両方の意味で使われているような気がするのです。
『ちょっと通してくだしゃんせ 御用の無い者通しゃせぬ』と続きます。誰でも自由にお参りできる筈の神社に関所のような門番がいたのでしょうか。『この子の七つのお祝いにお札を納めに参ります』
と訳を言ってようやく通してもらったのに『行きはよいよい帰りは怖い』と帰りは更に厳しい取り調べがあると歌っているのです。『怖いながらも通りゃんせ 通りゃんせ』で終わりますが、子供が喜んで歌う内容じゃありませんよね。
この三芳野神社の敷地を出ると直ぐ目の前に川越城の本丸御殿の入口があります。
このことから昔の三芳野神社は川越城の敷地内にあったに違い有りません。そうであれば『通りゃんせ』の歌詞も納得できます。
わらべ唄は親から子供へと伝承されてきたもので、歌がつくられた当時の世相や教訓さらには国への不満等を子供の遊び唄に託したものが多いようです。
昭和になってつくられた童謡にも中学生や高校生ぐらいにならないと理解できないような詩が時々顔を出します。それは本来童謡は子供のためにつくられたものですが、つくるのは大人です。大人が子供の心を通して、もしくは子供の頃を思い出してつくる詩、懐かしんでつくる詩には少なからず大人向けの
童謡となってしまったものも多いような気がします。
ふるさと・浜辺の歌・浜千鳥・更に言葉は易しいが赤とんぼ・里の秋・花かげ等の情緒ある歌と、ぞうさん・チューリップ・ゆりかご・うさぎのダンス・しゃぼん玉のような歌とでは同じ童謡でもえらい違いがあるとおもいませんか。
すっかり秋らしく成ってきたこの頃、『里の秋』のメロディーは心に浸みますね。しかしこの歌が戦争にまつわる歌であるとはつい最近まで知りませんでした。3番の歌詞まで読めば何故母さんと只二人で栗のみを煮ていたのかが納得できます。お父さんは南方の戦地に行っていたんですね。その3番の歌詞を読んでみたいと思います。
『さよなら さよなら 椰子の島
お舟にゆられて かえられる
ああ 父さんよ ご無事でと 
今夜も 母さんと 祈ります』
今 我が家の上をジェット機の騒音が通り過ぎて行きました。たぶんブルーインパレスでしょう。
今日は狭山の航空ショーです。
童謡の世界から突然現実の世界に引き戻された気分ですが、この現実も時が過ぎれば童謡の世界のように懐かしく思い出されるのでしょうか。
今日は3連休の最後の祭日です。3連休を楽しく過ごした人も、ムッツリ過ごした人も今日は久し振りに明るい童謡でも歌ってみませんか。歌い終われば誰でもがきっと心が晴れると思います。
かもめの水兵さんを最後まで歌いましょう。  せ〜〜の
『かもめの水兵さん 並んだ水兵さん 白い帽子白いシャツ白い服 波にチャプチャプ浮かんでる』
『かもめの水兵さん 駆け足水兵さん 白い帽子白いシャツ白い服 波をチャプチャプ超えてゆく』
『カモメの水兵さん ずぶ濡れ水兵さん 白い帽子白いシャツ白い服 波でチャプチャプおせんたく』
『かもめの水兵さん 仲良し水兵さん 白い帽子白いシャツ白い服 波にチャプチャプ揺れている』
  サンキュー