白髪の王子様の好奇心 52 夏の風物詩

夏の風物詩
東大寺大仏殿で、ほこりを払う『お身拭い』が行われました。
これは年に一度立秋に行われます。
立秋と聞くと『ちょっと待ってよ、夏本番が始まったばかりじゃないか』と不満を漏らす人も多いと思いますが、暦はほっといて、雪が降るまでガンガン夏を楽しもうじゃありませんか。
夏の風物詩といえば人それぞれです。時代や年齢、地域によっても違ってきます。
子供達にとっての夏の風物詩は、夏休み、お祭り、ラジオ体操かもしれません。旅行の好きな人にとっては、海、山、温泉でしょうか。私は頭も体も古風なせいか花火とスイカと風鈴であります。
隅田川の花火大会は終わりましたが、夏はあちこちで花火を打ち上げますので、思いがけず自宅の窓から遠くの花火が見られるかもしれません。
そんな時は花火を理由にもう一缶ビールを飲みましょう。なるべく近くの奥さんの白い目は見ないようにして、遠くの綺麗な花火を見るのが楽しむコツであります。
イカは体を冷やす作用が有りますので蒸し暑い夏にはピッタリですね。
なにせ90%以上が水分ですから。
花火とスイカの相性は抜群にグーですが、花火を見ながらスイカを食べると必ずスイカの汁が顎を伝って服を汚します。仕事を取るか家庭を取るかで悩んだお父さんは、ここでもスイカを取るか花火を取るかの決断をしなくてはなりません。
イカを食べる決心をしたら花火に背を向け、一心不乱にスイカにかぶり付いて下さい。
『ド〜〜ン』と大きな音がしても振り返ってはいけません。
急に振り返ると背後霊と目が合って、せっかくのスイカを放り投げてしまうかも知れませんので・・。
可憐な音で夏を楽しませてくれるのが風鈴です。
風鈴は色とりどりの華やかさと心地よい音色で幸せな気分にしてくれることから、お祭りにもよく登場します。
風鈴とは、なんといいネーミングでしょう。風が鳴らす鈴の音、『リンリン』『チリンチリン』と軽やかな澄んだ音で夏の邪気を払ってくれます。
昔は庇のある窓辺の外に下げたものですが、今ではクーラーを掛けるために窓を閉め切ってしまい、部屋の中にぶら下げる人も多くなりました。
風鈴はクーラーよりも風が好きです。部屋の中では風がないために歌を忘れたカナリヤのように沈黙してしまいます。
やがて電池で『チリンチリン』と鳴る風鈴が登場するかもしれません。
その頃には『風流』という言葉が死語になっていることでしょう。