白髪の王子様の会話ドラマ  なんで?シリーズ ④面接試験  

④面接試験
◎あら〜〜 かゆいと思ったらこんなところにニキビが・・・ガ〜〜〜ン
今日は面接試験なのに・・よりによって鼻のてっぺんにこんなに大きなバカニキビが〜〜〜
●何をブツブツ言ってるの 朝から鏡に文句を言ったって美人なんかにゃなりゃしないよ
◎冗談言ってる場合じゃないよお母さん 今日は大切な面接日なのに鼻のてっぺんにこんなに大きなニキビができちゃた〜〜よりによって何で今日なの よりによって何で鼻のてっぺんなの ウエ〜〜ン
●出物腫物処構わずと言うからね ニキビもお尻よりも見晴らしの良い鼻のてっぺんを選んだんだろうよ それにしてもこれから社会人になろうというヤングレディーがニキビ一つ位で泣くんじゃないよ
◎だってこんなに赤く腫れ上がってるんだよ これじゃまるで赤鼻のトナカイだわ このままじゃ恥ずかしくて面接なんか行けないわ ウエ〜〜ン
●赤く腫れたのはお前が寝ながら無意識に爪で引っ掻いたからだろうよ そんなに恥ずかしいんだったら薬局でお相撲さんが使うような大きな張り薬を買ってさ それを顔一面に貼って目の処だけ穴を開けて面接受ければいいじゃないか
◎お母さん そんな恰好で面接受けて私合格すると思う? 
●無理だろうね
◎ひどいな〜 それが可愛い娘が悲しんでいる時に掛ける親の言葉なの・・・信じられない
●お前が可愛かったのは3歳までだね 4歳を過ぎた頃から生意気に親に説教をするようになってさ 私は姑が二人いるようで難儀したもんだよ
◎だいたい子供に説教される親がいけないんでしょ お母さんは何事も大雑把過ぎるのよ 小学校の遠足のお弁当だって小さなおにぎりを幾つも造るのがめんどくさいといってソフトボールの様な大きなおにぎりを一個だけ造って弁当箱に入らないもんだからスーパーのビニール袋に包んでリュックに放り込んだじゃない 友達からはおにぎりのが私の顔よりも大きいと笑われたんだから 若しかしたらこのニキビはあの時食べたおにぎりのストレスのせいかも知れないよ
●馬鹿言うんじゃないよ お前がそんなナイーブに育つ訳ないじゃないか お前を可愛がったお父さんだってガサツなんだから
◎あ〜あ お母さんは超が付く程大雑把でお父さんはガサツときちゃ私の人生さぞかしドラマチックになるだろうな〜
●そうさ そのニキビもドラマチックな人生の一ページだと思えばど〜てこと無いさ
◎何だか真剣に考えるのが馬鹿らしくなってきちゃったみたい 
●そうそうその調子 お父さんと私の間に生まれたお前だもの鼻のてっぺんに出来たニキビなんかチャームポイントだと思えばいいのさ 隠さず恥ずかしがらずに堂々と鼻を前に突き出すんだよ そして今日はニキビの面接だと思えば気が楽になるさ 
◎それじゃ私はニキビの付き添いか
●そうそう それで面接官がニキビについて何か尋ねたら 『若さのシンボルです このニキビに負けないような目立つ働きをしたいと思います』と言ってやんなさい それで合格間違い無しさ
◎成程 その言葉いいね
●自分の欠点をチャームポイントに替える ピンチをチャンスに替える 社会に出て一番大切なのはそうした機転なんだよ
◎成程 お母さんも50年に一度ぐらいいいこと言うじゃない
●馬鹿言うんじゃないよ 私は未だ47歳だよ お前を苦労して育てたんだ お前が早く就職して元を取らなきゃ育て損だからね しっかり面接を受けるんだよ
◎えっ?お母さん これから私を育てた分の元を取るつもりなの
●当り前さ もうとっくにお前のおごりで行く旅行先も決めてあるんだから
◎大雑把だけでなくて腹も黒いじゃん 面接官に私のことはどうでもいいからお母さんのことで人生相談しようかな
●ハッ ハッ ハッ 社会に出れば腹黒い奴がわんさか居るよ 家で社会勉強出来るなんてお前は幸せ者さ
       ハハハハ  ハハハハ
おわり