白髪の王子様の好奇心 55 坊主憎けりゃ

坊主憎けりゃ
好き嫌いは食べ物だけならいいのですが、残念ながら人間関係にもあります。
この人間関係の好き嫌いが、とてもやっかいなのです。
嫌いな食べ物なら食べなければいいのですが人間の付き合いだけは、そう簡単にはいかないものです。特に職場等では気が合わないからといって仕事仲間や上司と一日中言葉を交わさない訳にはいきません。子供のように『アッカンベ〜〜』と片目を三角にできたら気を晴らすことも出来るのでしょうがサラリーマンはそうはいきません。
今時の小中高生の間ではメールが情報交換の主役だそうです。
白か黒か、敵か味方かをはっきりさせないと仲間外れとなり、やがて『ウザイ』とか『死ね』のメールが届くのだそうです。
彼等がこのままの感覚で社会人となり皆様の上司と成ったら大変ですよ。
『君っ 売上が落ちたから死んでくれないか』と屋上に呼び出されて、ロープを使うか飛び降りるかの選択を迫られるかもしれません。
そうならないようにと大人は白と黒の間に玉虫色を設けたんですね。
玉虫の羽は光線の具合によって色が変化するので緑色とも言えないし紫色とも言えないところから、曖昧な発言や態度に使われるようになったようです。
『前向きに善処します』 政治家が良く使うこの言葉も玉虫色ですね。やるのか?、やらないのか?。
外国の記者はこの言葉にはもう慣れっことなり、今では『何もしない』と訳して本国に報告しているようです。喜ぶべきか?、悲しむべきか?。
上司から『これ、今日中にやっといてくれ』と言われて『前向きに善処します』なんて言ったら張り倒されるかも知れません。その言葉はずるい政治家の逃げ口上であると我々も認識しているからなのでありましょう。
しかし我々も結構同じような言葉を使っているんですよね。
『たぶん』『考えておきます』『そのうちに』『どっちでも』等は玉虫も首を傾げる程の玉虫色の返事であります。
子供に言わせれば、どれもずるい返事だと言って『死ね』の宣告を受けるかもしれませんが、大人にとっては『やだ』とか『断る』とか子供のように単刀直入な返事では相手を傷つけると思い、即答を避けて感情を和らげるためのクッションの役目を果たしてくれる便利な言葉なんですね。
ところが、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとは良く言ったもので、何から何まで、頭のてっぺんからつま先まで、やること成すことが気に食わない相手がいるから困るんですよね。
それが何処に行っても必ず一人や二人いるんですよね、これが。
そうじゃ有りませんか?。そうなるとクッション材を取り外して五寸釘のような剣山を上向きに並べたくなるのです。
性格が合わないと言われればそれまでですが、そんな簡単なもんじゃ説明できないと思います。
例えば、相手の言葉を聞かずに自分だけぺらぺらしゃべる同じような性格の二人が合うかといえば、NOですよね、話せば話すほどお互いにイライラしてくるはずです。逆にお互いが無口で一日に交わす言葉が『うん』と『すん』だけだったら楽しい家庭など作れる訳がありません。
そうなると性格ではなくて相性なのでしょうか。
血液型で相性を占う人がいますが、つい先日アメリカの研究発表で血液型と性格には因果関係は無いと結論付けたばかりです。
それを聞いてほっとしました。実は私の血液型はB型であります。B型は変人奇人が多いと仲間からよくちゃかされましたが、これで晴れて胸を張れる
というものです。
それでは生まれ年の(えと)が関係しているのでしょうか?
それとも星座でしょうか?
謎は深まるばかりであります。
更に、今迄争っていた二人が、ひょんなきっかけで仲良くなったりすると、もう私の好奇心でとやかく言う次元を超えています。
『愛は屋上のカラスに及ぶ』ということわざが有ります。誰かを好きになり夢中になると、その人の家の屋根に止まっているカラスまでも好きになるという意味だそうです。
憎むよりも愛するほうのが心を豊かにしてくれます。それが分かっていながら襟首を捕まえて殴ったり蹴飛ばしたり顔に糞をなすり付けたくなるような奴がいるんですよね。ほら、あそこに、でかい面しやがって。そうでしょ皆さん。