白髪の王子様の好奇心 42 フォークとお箸

フォークとお箸
和食が世界遺産になるそうである。卵焼きしか出来ない私でもちょっと鼻が高くなった気分であります。
食卓に出てくる料理もそうですが、食材の美観、食材のバランス、口に入れやすい大きさ、器の食べやすい配置等々、料理する人の優しい心配りも世界遺産ではないかと思うのです。
わらじみたいな大きな肉の固まりをデ〜ンと出して、さあ、勝手に自分で切って食べろ等という失礼なことはしないのです。
だいたい洋食は食卓にナイフ、フォーク、スプーン等の金属をガチャガチャ並べるのも気に入らない。特に凶器ともなるナイフを相手が持つなら、こちらは日本刀を持参しないと身が守れないではないか。
和食はどんな料理もお箸一善あれば食べられるようになっています。ナイフとフォークが陶器に触れる不快な音も聞かなくて済むのです。しかも切った料理をフォークで突き刺して口に入れる作法は遊牧民族独特で、良いマナーと言い難い習慣である。和食では『刺し箸』と言ってこれを嫌います。更に、どれを食べようかと料理の上をさ迷う迷い箸、そして寄せ箸、こじ箸、ねぶり箸等々、お箸の使い方だけでも様々なマナーを大切にしてきたのです。
洋食はマナーはうるさいくせに大の大人がよだれ掛けをして食べている。カラスがゴミ袋を漁るように食べ物を口にくわえたまま首を振って食べるのがマナーなのだろうか?
その点和食は小皿が用意されており、口元まで運べるのでよだれ掛けなど必要ないのである。小さなハンカチでも膝の上に置くだけで充分なのです。
スプーンはスープを飲む時には便利ですが、スープはなんであんなに大きなお皿に入れて来るのだろうか、犬や猫が飲むならまだしもである。小さなスプーンで皿から掬い取ったスープを口まで運ぶからよだれ掛けが必要になるのである。ちょっと深みがあって口元まで運べる小ぶりのお皿を考えてもいいのではないでしょうか。
ところでスプーンに写った自分の顔を見たことがありますか?
凸面に写すとアンパンマンがお多福に成ったような不気味な顔になります。
凹面に写すと顔が有りません、なんと逆さまになった貧弱な姿が写っているのです。どちらにしてもスプーンに写った自分の顔が気に入った方は、なるべく普通の鏡は見ない方がいいと思います。
世界遺産に登録される日本料理はテーブルに山と積まれた豪華な料理では無く、一汁三菜が基本の、ごく普通の料理をモデルにしているそうで、それも嬉しいですね。
メタボの方は是非参考にして頂きたいと思います、しかしおやつや夜食にステーキや焼き鳥等をムシャムシャ食べたらせっかくの世界遺産が泣きます。和食は腹八分が美徳なのですから。肉八分じゃありませんよ。