白髪の王子様の好奇心 36 傘美人

傘美人
4月も後半になるとちらほら日傘を見かけるようになった。
ところで、いつ頃から日傘は黒くなってしまったのでしょうか?
カラフルな日傘は我々男から見ると路傍に咲く花に出会ったようで、一瞬暑さを忘れさせてくれるすがすがしい光景なのです。
ところが今は猫も杓子も真っ黒黒助で、余計に暑苦しく感じてしまうのである。
見慣れない頃は近くで葬儀でもあったのかと勘違いしたものである。
傘の色によって紫外線を受ける割合が多少違うのかも知れないが、傘を通して受ける日光ぐらいはビタミンDとなって骨粗しょう症の予防にも成ると思うのだが親爺の余計なお世話なのだろうか。
少し前までは陽だまりの太陽に感謝していたくせに、ちょっと暑くなったら日差しを敵の様に睨みつけるなんて太陽に対して失礼である。近年猛暑が多くなったのは感謝を忘れた人間どもに対する太陽のお仕置きではないだろうか?
気が付けば、最近傘美人に出会う機会がめっきり減ったような気がする。
傘美人と言えば、白川郷の合掌造りのような三角形をした笠を被って踊る美人は笠美人である。
あのおけさ笠を被って踊る女性はみんな美人に見えてしまうのは私だけだろうか?
笠の中から『チラッ』と見える面影は期待を込めた願望もあってかみんな美人に見えるのである。
何事もこの『チラッ』がいいのだと私は思います。『ガバッ』はいけません。
『いない いない バ〜〜』と子供をあやすおばちゃまも注意した方がいい。子供は無邪気に笑ってくれるが、親は皺の寄った手と手の間から不気味で巨大な顔がガバッと現われる度に子供の顔に影響するのではないかとひやひやしているのである。
何事もガバッはいけません。
男は日傘をさす者は殆んどいない。その理由は、けっこう笠は邪魔になるのである。他にカバンや荷物を持っていると両手がふさがってしまうし、特に雨上がりの傘程邪魔な物はない。
傘の忘れ物が多いのもそんな理由だと思う。
これも傘に対して大変失礼な話である。近年ゲリラ豪雨が多いのは雨や傘に対する感謝の気持ちを忘れた人間に対してのお仕置きではないだろうか?
最近は男も美肌を守るためにエステとやらに通う時代である。やがては男がカラフルな日傘をさしてしゃなりしゃなりと歩くかも知れない。そんな姿は『いないいないバ〜』をするおばちゃまの顔と同じくらいに見たくない光景である。
流行は繰り返すと言われています。男に奪われる前に早くカラフルな日傘に戻ってほしい。きっと以前とは違う進化した傘美人が見られると思うのです。
その時が来たら、もう一度言いますが、見る方も見せる方も『チラッ』が肝要ですよ、何事も『ガバッ』はいけません、『ガバッ』は。