白髪の王子様の好奇心 37 宇宙人がやって来た

宇宙人がやって来た
四月のaprilは花開く頃というロマンチックな意味なのに欧米諸国がエイプリルフールと言う、嘘遊びの日を設けた為に、あまり尊敬されない月と成ってしまった気がします。
4月は我々サラリーマンにとっては新入社員が入って来る楽しい季節ですが、恐ろしい季節でもありますね。
今年の新入社員の殆んどは平成生まれの宇宙人なのです。
昭和生まれの宇宙人だった先輩でも腰を抜かすような進化した宇宙人がやって来たのです。
挨拶ができない、ちょくちょく遅刻をする、ちょっと注意すると翌日休んでしまう、なんていうのは当たり前、遅刻や休みの連絡が親から来るのも当たり前、仕事がきついと親から文句が来るのも当たり前、『八重歯が可愛いね』と言っただけで親からセクハラだと訴えられたりと、先輩も新入社員以上に緊張してオシッコ漏れそうなのである。
新入社員の遅刻の理由はたいてい決まっていて、どこの会社の上司も耳タコである。
それを知ってか、あるラジオ番組で遅刻の理由を上司に言ったら笑って許してくれたケースをリスナーに募集したところ大変ユニークな答えがあったので二つばかり選んで報告します。
その1 『出掛けに紅茶を飲もうと角砂糖を入れましたが、その角砂糖が中々解けなくて、解けるのを待っていたら遅刻してしまいました』
その2 『洗濯機を覗いていたら目が回って歩けなくなってしまい遅刻しました』
どうです?昭和生まれの先輩方、私が上司であったとしても思わず笑ってしまって、真剣に怒る気などしませんね。宇宙人の勝ちです。
『あの馬鹿がっ』と喉仏まで出かかって、ぐっと堪える諸先輩のみなさん、バカにも色々なバカがありまして、相手がどの部類のバカなのかを考える余裕を持って対応していただきたいと思います。
1、天然バカ
 育った環境によって成ったバカではなく、生まれながらの純粋なバカである。再生可能です。
2、まだらバカ
 定期的に単純なミスを繰り返すので判断に苦しむタイプだが、これがまだらバカの特徴である。
3、天文学的バカ
 あまりにも偉大なバカで、計り知れないバカである。さわらぬバカに祟りなしである。
4、地平線バカ
 天文学的バカより少しは話せるが、地平線のように果てしないバカなので根気が必要である。
5、天才的バカ
 天才とバカは紙一重と昔から言われている。先輩の工具を床に落として壊してしまったのに謝ろう ともせず、本来なら床より工具の方が固い筈なのに何故壊れたのか、引力とか重力の話を持ち出し て得々と持論を述べるタイプ。 五寸釘でお尻をブスッとやりたいタイプである。
6、マザコン バカ
 何でも親に言い付けるバカ。 これは親子バカなので適当にあしらい、他の部署への配置換えを上司に申請した方のがよさそうである。
7、ムッツリ バカ
 挨拶が出来ない、謝らない、返事が出来ない等のないないバカである。
沈黙は金と言われた時代もあったが、サラリーマン社会では沈黙はバカである。
携帯、スマホ、パソコン等に対する依存症と思われる。人との会話が不足している現代病なので、病人と思って笑顔で対応して頂きたい。
8、ハイ ハイ バカ
 ムッツリ バカとは対照的で『ハイ ハイ』と返事は良いが、赤ちゃんの這い這いと同じで危なくて目が離せないバカである。
這えば立て 立てば歩めの 親心で根気よく愛情を持って育てて下さい。
しかし、このタイプは、ちょっと成長すると生意気になるのは子供と同じである。
まだまだ色々なバカがいますが、昔の自分を思い出していただき、根気よく宇宙人を指導して戦力に育てあげて頂きたいと思います。尚、この4月からの人事異動により直属の上司にもスーパー宇宙人を迎えてしまった皆様には心よりお悔やみを申しあげます。
新入社員に振り回され、上司からも振り回されたあげく、両手をひらひらさせて『蝶ちょ 蝶ちょ』と社内を飛び回らないことを祈るばかりです。
5月病は新入社員だけのものじゃ無いのです。
ところで、仕事仲間からばらされない内にお伝えしますが、私はまだらバカを50年程続けておりまして、地平線バカとまだらバカの合併症ではないかとの噂がチラホラ。
それでも私は一向に気にしておりません。
なんたって私は王子様ですから。