白髪の王子様の好奇心 118 癌からの生還

癌からの生還
先日久し振りに飲み仲間の会長から招集メールが届きました。大腸癌の手術を受けた仲間が無事飲み会に復帰する祝賀会の出欠確認であります。
待ちに待った朗報だったので喜んで出席のTELをいれました。私はメールを見ることはしますが、メールを送ることはしません。だいたい携帯電話は会話を交わすものであり会話を楽しむものなのであります。抑揚のない平ぺったい文字だけでは消化不良でトイレに行きたくなってしまうのであります。
その平ぺったいメールをよこした横着な会長も実は16年程前に同じ大腸癌を患い、生死を賭けた大手術の末無事生還した経験の持ち主であります。今でも年1回は定期健診を受け薬も飲んでいるそうです。
癌が怖いのは無事手術が成功しても他に転移している可能性が有ることです。そんな不安を紛らすためかどうかは分かりませんが、会長は以前にも増して酒豪となったようであります。還暦を過ぎた今でもビール・日本酒・焼酎・ウイスキー・ワイン何でもOKであり割り勘の飲み会で絶対に損をしない『見上げたもんだよ屋根屋のフンドシ』であります。
その屋根屋のフンドシの話しによりますと、手術の時50センチ程腹を切り開き、そこから医者が頭を突っ込んで癌のこぶを見付け出して切除したそうであります。頭の大きな医者だったようで今でもその傷は生々しく残っているそうであります。ところが今回無事生還した仲間の話ではピンポイントで数か所の小さな穴を通して腫瘍を摘出して終了、傷跡も殆んど気にならないそうです。医者の頭の大きさは関係なかったようであります。医学の進歩は素晴らしいもので彼は手術後15日程度で仕事に完全復帰しております。
飲み仲間の平均年齢もシルバー色に染まり、やれ痛風だやれ坐骨神経痛だと言っても笑い話の摘まみとなって悩みも雲散霧消となるのが我々の心地よい飲み会であります。
いい気分で自宅に帰るとラジオのニュースで『国立癌センターは2013年度の診療実績を本日発表しました。それによりますと男性は胃癌を抜き大腸癌が初めてトップとなりました。』と報じているではありませんか。何というタイミングでしょうか。どうやら仲間は病気だけは流行の先端を行ったようであります。女性も乳癌に次いで大腸癌は2位であります。大腸癌は年寄りの病気だと思っている方も多いかと思いますが、今回復帰した仲間は50代半ば、屋根屋のフンドシは40代半ばで発症しております。最低でも年一回の定期健康診断は必ず受けて下さい。若い皆さんが不摂生をして馬のひづめのようにポックリ、ポックリとあの世に先立たれますと私の年金にも支障をきたす恐れがありますのでどうぞお体を大切にして頂きたいと願うところであります。
大腸癌が増えた原因の一つに洋風化した食生活があげられています。特に肉であります。肉の適量は1日70グラム、1週間で500グラムが健康に良い目安だそうです。やれ焼肉パーティーだ、やれバーベキューだ、やれ暑気払いだと言って一度に500グラム位の肉をペロッと食べておりませんか。
夏バテを肉のスタミナで回復しようと思っても腸も夏バテしていることを忘れないで下さい。楽しく過ごしたパーティーの後は世界遺産日本食に切り替えて腸を休ませてあげましょう。
嬉しいニュースもあります。お酒やタバコと大腸癌との因果関係は今のところ見つかってないようであります。屋根屋のフンドシの話によりますと、毎日お酒を飲むことによって癌細胞もアル中となり、別の場所に転移したくても手が震えて取り付けないそうであります。
これを信じるか信じないかは貴方次第であります。



私の好きな散歩道の若い稲穂が黄色の花をまとい背伸びをして朝日を浴びています。稲の香りで満腹気分であります。