白髪の王子様の好奇心 51 植物は偉い

植物は偉い
お尻の青い稲穂が姿を見せ始めました。
その上を塩辛トンボがスイスイ飛んでいます。
毎日同じ散歩道ですが、季節の歩みが目を楽しませてくれます。
住宅街を通る帰路で、空地に咲く珍しい花を見付けました。写真を載せましたので、何の花だか当ててみて下さい。
五枚の花びら(実際はガクだそうです)がそれぞれ勝って気ままにアートを楽しんでいます。
植物は花の鮮やかな色彩や香り、更には甘い蜜で昆虫や鳥を誘って受粉を促す優れ者です。
この一見ハチャメチャな模様も昆虫を誘う作戦なのかも知れません。この花を見た昆虫は『何じゃこりゃ?ピカソだってこんな変な筆づかいしないぞ』と立ち止まったら思う壺です。その思う壺に私もはまってしまったのでした。
この花は、ゲテモノ好きなのでしょうか、昼には花を閉じて寝てしまうのです。このヒントで何の花だか分かった方も多いと思います。
そうです。これは『おしろい花』なのです。
普通は赤や白、黄色等の一色ですが『これは自然交配の混血です』と、横で草むしりをしていた私より若いおじさんが教えてくれました。
お互いの遺伝子が持つ色素同士が勢力争いをしているのでしょう。
この色素は自分の色で花びらを染めるのではなくて、太陽の光の中から必要な色の光を吸収し、不要な光を反射することによって花の色をコントロールしているそうです。
同じ土から養分を取っているのに、どうして様々な色の花が咲くのだろうかと不思議に思っていた私の目からウロコが一枚ポロリと落ちました。
葉が緑色なのも、他の色は葉の中に入れてもらったのに緑色と黄色の光は門前払いをくらってウロウロしているから緑や黄緑に見えるのだそうです。
私達を癒やしてくれる緑色は、本当は可哀そうな色なんですね。
人間は虹を見てプリズムを発明しました。
植物は七色に輝く虹から花の色の表現方法を会得しました。
どう考えても植物のが一枚も二枚も上だと思いませんか?
花の色や香り、そして甘い蜜で昆虫を誘うということは、視覚も臭覚も味覚も分かるということですよね、更にオジギソウや食虫植物を見れば触覚も有ることが分かります。
これでは私達人間と殆んど代わりないじゃありませんか。
これからは、スマホを見ながら木にぶつかったら『御免なさい』と、丁寧に謝りましょう、やがてこの地球は猿の惑星の次には植物の惑星となるのですから。