ジ−ジ−とバ−バ−とお孫さんシリ−ズ 3 殿と姫

殿と姫
○やれやれ 孫に会えるのは嬉しいけど帰るとほっとするのはどうしてかしらね お父ちゃん
◎それは自分の子供と違ってけっこう気を使ってるんだよ
○それに孫台風が去った後に残されたものは散らばったオモチャに破れた襖と障子 ふ〜〜っ
◎良太が障子を破ったからといって嫁の前で頭を殴るわけにもいかんしな
○良くない事をした時はしっかり叱るのがお父ちゃんの役目でしょ 嫁も甘やかさないでと言ってたじゃない
◎初孫だからどう扱っていいやら ついつい甘やかしてしまうんだよな
○そんなに逢う度デレデレしてたら孫にも嫁にも馬鹿にされてしまうわよお父ちゃん
◎その『お父ちゃん』は良太の前では止めた方がいいな キョトンとしてたぞ
○だけど ジ−ジとかバ−バはいやなのよ それに良太はせっかちだからジ−ジやバ−バじゃなくて
ジジ− ババ−と言ってるように聞こえるわよ あれって若しかして嫁の策略かもよ
◎馬鹿言ってるんじゃないよ
○そうだ これからは良太の前ではお父ちゃんのことを殿と呼ぶことにしましよ
◎おいおい殿はちょっと大袈裟だろ
○何言ってるのよ お父ちゃんは一国一城の主じゃないの 世が世であったならお殿様ですよ
◎そうかね 私が殿ならお前は何と呼んだらいいのかね
○当然 奥方様か姫でしょ
◎ガタガタ様かオシメはどうかね
○何言ってんですか 女は誰でもお姫様に憧れるもんですよ 私だって一生に一度でいいからお姫様と
呼ばれてみたいもんだわ
◎そうかね それでは練習してみるか
○お父ちゃん行くわよ 本番スタ−ト ・・・・・・『殿』
◎おう姫か 何か用か 苦しゅうない近こう寄れ
○ギャハハハ こりゃ駄目だ ギャハハハ
◎おい それが姫の笑い方か よだれを拭いてやるからもそっと近こう寄れ
○ギャハハハ ヒ〜〜 苦しい〜〜〜
◎苦しゅうない 向こうに行ってくれ 姫
○ヒ〜〜ッ クックックッ ヒ〜〜〜ッ