愉快な友達シリ−ズ 10.送別会

○ 栄転の送別会ってやりやすいけど、左遷の送別会ってやりにくいよな
○ 野々宮は一徹過ぎるんだよ、自分が正しいと思い込んだら平気で上司に突っかかるからな
○ 世の中って結局は調子のいい奴が出世するのさ
○ それじゃ俺達の仲間では岸本が一番出世するな、あいつ口ばっかり達者だからな
○ とにかく野々宮を反面教師として俺達も気を付けないとな、あんな地方に飛ばされちゃってさ
○ 奥さんまで頭を下げてニコニコしてるけど見てる方が辛いよな、あっ奥さんがこっちへ来るぜ
○ あらっ、小柳さんに名取さん、今日は主人のためにお忙しいところ有難うございます
○ いえ、俺達親友ですから
○ 主人もよく俺の気持ちが分かるのは小柳さんと名取さんだと申しておりますのよ
○ いえ、とんでもない
○ あら,とんでもないんですか?
○ いえ、とんでもない
○ 小柳、何言ってるんだよお前は
○ 主人が転勤先で落ち着いたら是非お二人をお呼びして一緒に仕事したいとも言ってましたわ
○ いえ、とんでもない
○ あら、お嫌ですか?
○ いえ、とんでもない
○ 名取、何言ってるんだよお前は
○ 有難うございます、早速主人に小柳さんと名取さんが是非一緒に付いて行きたいそうだから
  上司にお願いするようにと申しておきます それでは失礼します
○ チヨッ チヨッ チヨッ 奥さ〜ん おい名取、何とか言えよお前も
○ もしかしたら今回の移動は野々宮に色々経験させるための恩情の人事かも知れないぞ
○ と言うことは、左遷じゃなくて出世コ−スに乗ったと言うことか、チヨット チヨット
○ だって見てみろよ、野々宮も奥さんも、とても嬉しそうだし、さっきの田鍋部長の挨拶でも
  『積極的な提言が評価されてようやく野々宮君にも飛躍のチャンスが訪れました』
  とか『強い希望を受け入れ』とか野々宮の意見を取り入れた人事だと言ってたじゃないか
○ 名取、それじゃ俺達って逆に取り残されたと言うことじゃないか、チヨット チヨット
○ 小柳、チヨット チヨットなんて言ってる場合じゃないぞ、チヨット--