白髪の王子様の見聞録 ほっこりアイランド

28 凸島視察

★貴方一人でいいのにこんなに大勢のマッチョマンを引き連れて登ったらゴリラの親分も逃げ出すかも知れませんよ

(マ) ハハハハ 私達は毎週トレーニングでこの山に登ってますが山は荒らしていませんのでゴリラも安心して昼寝してる筈です 山リスなんかわざわざ近くに寄ってきてウインクしてくれるぐらいですから

★それは良かった ところで貴方ならこのとんがり山を開発したらどんな娯楽施設を造りたいですか?

(マ) 私ならアスレチックゾーンにしたいですね

★う~~ん それだとお年寄りや女性は敬遠するでしょうね 私は老若男女が気楽に楽しめる施設にしたいんですよ

(マ) 最近のトレーニングジムにはピッチピチの若い女性ばかりかアクセルとブレーキを踏み間違えしそうなリタイヤ組の爺さん連中もどんどん増えてるそうです 今は長生きよりも健康寿命が注目されているんです

★ふ~~ん

(マ) 心配でしたらお年寄りや幼い子供も楽しめるゲーム感覚の遊技を加えてアピールすれば大丈夫ですよ それには興味を引く洒落たキャッチフレーズが大切ですね 『ヨチヨチからヨボヨボまで寄ってらっしゃい見てらっしゃい』なんかどうでしょう

★そんなんじゃ介護施設と間違えて若者が寄り付きませんよ

(マ) う~~ん それじゃ施設のネーミングを誰でも楽しめる『ちゃんこ鍋ランド』なんかどうでしょう

★キャッチフレーズもネーミングも私が考えますので貴方は遊技のことだけ考えて下さい

(マ) ハハハハ 体を使うのは得意ですが頭を使うのはどうも昔から苦手でして ハハハハ

★笑ってる場合じゃないですよ 行き止まりですよ 道を間違えたんじゃないんですか

(マ) いえいえ見ててください『お~い野々宮君と名取君の二人でそこの白ペンキで〇印を付けた木をチエンソーで根元から切ってくれないか 6本有るから倒れ次第残り全員で引き出して枝葉を削いで丸太にして入り口の砂浜まで下してほしいんだ みんな頼んだぞ

(全) オーッ

★それで大勢のマッチョマンを連れてきたんですね

(マ) ええ あの数本の木を倒して生い茂っている藪を取り払えばけもの道と呼ばれる昔の林道に出ますから崖をよじ登ったりしなくても楽に登ることができます 然も切り取った木は王子殿の宮殿を造る建築材料として利用します 一石二鳥のグッドアイディアでしょ

★う~~ん そこまで考えたのは貴方じゃなくてご主人殿でしょ

(マ) ハハハ ばれましたか 私は体を使うことは得意ですが頭を使うことは苦手ですから ハハハハ

★早いですね~ もう邪魔な木は全て切り取ったようですよ

(マ) 文明の利器を使えば早いものです 藪を掻き分ければもう通れますから後は彼らに任せて先に行きましょう ちょっと段差が有りますから足元に気おつけて下さい ここには後で可愛らしい橋でもこしらえましょう ネーミングは『プッチンプリン橋』なんてどうでしょう

★ネーミングは私が考えますから先に進みましょう

(マ) いいと思うんだけどな~~ あっ!そうだ王子殿ちょっとこちらへ  ここは岩場ですが崖ではなくお立ち台のように平坦にせり出してるでしょ ここなら休憩所だってつくれますよ

★成程 一休みするには最適な場所ですが残念ながら景色が見られませんね

(マ) 任せてください 正面の大木を3本切り落とせば白い砂浜とぺったんこ島それに青い水平線の絶景が見られる筈です ネーミングは『冥土のみやげ絶景ゾーン』なんかどうでしょう 岩から飛び降りれば本当の冥土に行けますから

★ネーミングは私が考えます 余計な事考えないで案内を続けて下さい

(マ) 何か冷たい視線を感じますね この道をらせん状に登れば頂上はすぐ其処です 早いでしょ なにせ海抜88メートルの山ですから このなだらかな登り坂を『高齢者ルンルン坂』と名付けてはどうでしょうか

★・・・・・

(マ) あれっ!何か言ってくださいよ 無視はいけませんよ無視は それっていじめですよ白髪の王子殿

つづく